公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
平成25・26年度の2年間にわたり,P行列上の線形相補性問題(PLCP)の計算量について研究を進めてきた。今年度は最終年度として,以下2点について研究を進めた。(1)線形回ステップを達成する行列クラスの拡大: 今年度は行列の立場からPLCPを見て1つの向きづけに対応する線形相補性問題は多数存在するという事実に着目した。P行列はBard系アルゴリズムの各ステップであるピボット変換の操作に対して閉じているものの,K行列は閉じていないことが知られる。つまり,線形相補性問題として与えられた行列がK行列ではないP行列であっても,ピボット変換によりK行列が得られる可能性がある。この着眼点から,一般の次元において,局所一様性を満たす向きづけを与えるK行列ではないP行列上の線形相補性問題が存在することを理論的に示した。(2)PLCPの部分クラスの解明とその計算限界: PLCPの部分クラスで,多項式時間で解けることが知られている対称な正定値行列(SPD)上の線形相補性問題に着目し,任意のSPD行列上の線形相補性問題が,計算幾何の基本的な問題である多面体への最小距離(PN)問題として解釈できることを示した。更に,SPD行列がある条件を満たすとき,このPN問題が制限付きの最小包含球問題(CSEB)として解釈できることも示した。CSEB問題とは,$n$次元空間においてアフィン独立な$n+1$点が与えられたときに,これらの点を含む最小半径の球を求めるという最小包含球(SEB)問題の特殊な場合である。また,SPD行列上の線形相補性問題,およびCSEB問題とSEB問題についても,Bard系アルゴリズムの振る舞いである$n$次元立方体のグラフの向きづけを解析した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Computational Geometry: Theory and Applications
巻: 46(3) ページ: 382-393