公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
バクテリアの水素代謝の中心的な役割を担うヒドロゲナーゼは,水素分子の分解・合成を可逆的に触媒する.本研究では,まだ性質や機能がよくわかっていないグループIVに属するエネルギー保存型[NiFe]-ヒドロゲナーゼを研究対象とし,その大量発現系の構築およびX線結晶構造解析を用いた原子レベルでの立体構造決定を目指した.まず,大腸菌で産生させた他の種由来のヒドロゲナーゼの活性を確認するため,内在性ヒドロゲナーゼの遺伝子をノックアウトした大腸菌株を幾つか作成した.さらに,酵素活性に必須な鉄硫黄クラスターを合成する遺伝子群の発現を制御する遺伝子iscRをノックアウトした株も作成し,これらの宿主としての能力を評価した.発現ベクターは,これまでに作成した好熱菌由来のグループⅣ[NiFe]-ヒドロゲナーゼの構造遺伝子および成熟化因子遺伝子を挿入したものについて,さらなる改良を進めた.まず,従来の系ではベクター上の一連の遺伝子は一つのプロモーターによって転写が行われていたが,個々のタンパク質の発現量のばらつきを抑え,かつ全体の発現量を増やすために,各遺伝子それぞれにプロモータ-配列を挿入した.その結果,これまでは発現が電気泳動で確認できていなかったサブユニットについても十分にその発現を確認できるようになった.また,iscRのノックアウトは,活性を有するヒドロゲナーゼの発現量にはほとんど影響がないことも確認された.また,大腸菌内在性グループⅣヒドロゲナーゼの試料調製に向けた遺伝子組み換え体の作製にも着手し,プロトンポンピング機能をになう膜内在性サブユニットであるHycDのC末端側にHistidine-tagを導入することによって,標的酵素を1回のステップで高純度に調製することを可能とする系を確立した.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Acta Crystallogr F Struct Biol Commun.
巻: 71 号: 1 ページ: 96-99
10.1107/s2053230x14026521