公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究では、水中で簡便に調製可能なブロック共重合体型ポリイオンコンプレックス(PIC)ナノ構造体を基盤材料とし、水系で簡便かつ効率的な融合マテリアル作製手法の開発に挑戦した。このような技術の開発は、低環境負荷で高度な材料を開発する手法を提供するだけでなく、水系で起こる生命現象に代表される動的機能を組み込んだ素材開発を可能にする点で大変重要な技術となる。これまでにPICベシクルをはじめとするPICナノ構造体の作製技術を独自に開発してきたが、当該年度ではナノスケールでの相分離構造を活用した新規融合マテリアルの創製を行った。まず、ポリエチレングリコール (PEG)からなる水溶性非荷電ブロックとポリアミノ酸由来の荷電性ブロックからなるdouble hydrophilicブロック共重合体を基盤とし、PEGと荷電連鎖の割合を詳細にチューニングすることで、いわゆるブロック共重合体のミクロ相分離構造発現のメカニズムに従って多彩なナノ構造を制御できることを見出した。また、温度に応答したPEGの脱水和・凝着力上昇などに連動して、加熱/冷却に対して可逆的に微細構造を変化させられることを見出した。さらに、一連のナノ構造体がコアセルベート(濃縮液相)となりうることを突き止め、その濃縮力を応用した融合マテリアルの開発を進めた。市販の酸化鉄ナノ粒子を水溶液中に均一分散させ、PICコアセルベートと混合したところ、酸化鉄ナノ粒子を高効率でPICコアセルベート相へと回収することができた。この時、仕込みの酸化鉄ナノ粒子濃度に応じて得られるPICの性状が変化し、ある程度の濃度まで流動性を保持していた。また、流動性を示すサンプルについて、超薄切片のTEM観察により構造解析を行ったところ、ミクロ相分離構造のPICドメイン選択的に酸化鉄ナノ粒子が捕捉されることがわかった。これらの知見は、新規ハイブリッド流体材料作製の上で非常に重要な技術であると考えられる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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巻: 印刷中
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