配分額 *注記 |
5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2014年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2013年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、独自のコンセプトにより設計・合成した希土類錯体をユニットに用い、その分子制御により薄膜化した発光性融合マテリアルとして実現させることである。具体的には、結合軸を設計した独自の配位子と種々の希土類イオンをユニットとし、これを発光色を加味したリンカーで融合した鎖状の発光性希土類融合マテリアルの開拓を試みた。明らかになった点は主に2点である。 (1)一連のランタニドを中心金属に有するヘリカルな希土類錯体(LnL, Ln=Nd, Eu, Gd, Tb and Ho)の光基礎物性を明らかにした。さらに、これらを発光ユニットとし、ベンゼンジカルボン酸bdcで連結した鎖状錯体を合成し、構造解析を大型放射光実験施設SPring-8 BL02B2で行った。この鎖状錯体は高い規則性を有する。EuLとTbLを50%ずつ混合した系は、室温でEuLのみが赤色発光し、低温でTbLとともに黄色発光する。すなわち温感特性を発光色でセンシングできる材料である。これを基に、アントラセンジカルボン酸An-dcでの架橋を試みた。このAn-dcは、紫外光励起によりアントラセン骨格の青色発光を示す。EuLとAn-dcは鎖状構造をとる。しかし、この系はいずれの場合でも発光しない。これは、配位子の励起状態からの緩和とアントラセン部位の遷移が競合する系であることが分かった。 (2)先の知見を基に、新学術領域内であらたな発光性合物の創成とその発光特性評価に挑戦した。たとえば、会合性を有する三回対称性有機分子を母骨格とし、その液晶性と発光発現、およびテルビウムを含む低分子ヒドロゲル形成と発光発現について、領域内共同研究として論文を報告するまでに至った。
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