配分額 *注記 |
6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2014年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2013年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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研究実績の概要 |
本研究では、本来はアキラルな低配位ホスフィンが金属原子と錯体形成することによってキラリティを示す構造に変化することに着目し、低配位ホスフィン構造の高いパイ受容性の活用を念頭に置きつつ「配位感応性」を制御することと、高性能の均一系触媒を開発することを目的とする。 1)もともと平面構造であるDPCB(3,4-ジホスフィニデンシクロブテン)にふたつのAuClユニットが配位するとP=C-C=P骨格が顕著にねじれてC2形となる。このClアニオンをビナフチル骨格を有する剛直な軸不斉アニオンに変換することによってねじれDPCB構造が単一のヘリシティに制御されることをCDスペクトルおよびDFT計算によって確認・解析した。立体選択性は低かったものの、DPCB-二核塩化金錯体とキラル銀塩を併用する条件で触媒的不斉分子内環化反応が進行することを確認した。 2)基本的には平面構造のDPCB骨格であるが、1,2-位置換基に共役系構造を導入することによって若干C2形に歪むことがX線構造解析および計算化学によって示唆された。また、このねじれの度合いが1,2-置換基によって有意に依存している可能性も見出された。さらに、DPCBそのものがねじれる度合いが、二核金錯体における歪みの度合いと対応する傾向もみられた。 3)含窒素複素環構造と低配位リン原子を組み合わせた配位子を導入した塩化金錯体がアセチレン部位の活性化を起点とする触媒的分子変換反応において強い触媒活性を示すことを見出した。これは、複素環にふくまれる3配位窒素からのパイ電子供与性によってLUMO準位が高められているものの、触媒反応におけるカチオン状態が安定化される効果が大きく影響しているためと考えられる。
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