公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
X連鎖型知的障害・自閉症の原因遺伝子産物である膜分子Interleukin-1 receptor accessory protein-like 1 (IL1RAPL1) とそのリガンド、受容体チロシン脱リン酸化酵素PTPδの相互作用からシナプス前部、後部が誘導される分子シグナルネットワークを明らかにするとともに、シナプスオーガナイザーの機能欠損が引き起こす神経発達障害におけるシナプス病態と回路構築病態を明らかにすることを目的として研究を進めた。IL1RAPL1とPTPδの相互作用によってPTPδの細胞内領域に形成されるシナプス前終末誘導複合体の構成タンパク質の網羅的解析から、シナプス形成に関わる神経発達障害関連分子ネットワークが明らかとなった。また、IL1RAPL1-PTPδ複合体のX線結晶構造解析及び構造モデルに基づく両タンパク質の変異体の解析からIL1RAPL1とPTPδの結合様式及びシナプスの分化誘導シグナル伝達に関わる重要な領域を同定した。更にIL1RAPL1の欠損が脳機能に及ぼす影響について、網羅的行動テストバッテリーを用いて検証した。IL1RAPL1欠損マウスでは大脳皮質2/3層及び海馬CA1領域において興奮性シナプスが10%程度減少しており、空間の参照記憶や作業記憶、恐怖記憶の遠隔記憶が障害され、行動の柔軟性も野生型マウスに比べると減少していることが明らかになった。また、IL1RAPL1欠損マウスは自発的活動が亢進し、広い空間や高さに対する不安が軽減していることも明らかになった。これらの結果は脳の興奮性シナプス形成を制御するIL1RAPL1の欠損が興奮-抑制のバランスを崩し、様々な脳機能に影響を及ぼしていることを示唆している。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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