公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
近年、レット症候群(RTT)病態におけるmechanistic target of rapamycin (mTOR)シグナルの重要性が指摘されている。そこで我々はMeCP2とmTORシグナルを結ぶようなMeCP2の新規機能同定を目的とし、神経系の主要細胞種におけるMeCP2相互作用因子の網羅的探索に着手した。その結果、MeCP2はmicroRNA(miRNA)マイクロプロセッサーDrosha複合体と会合することが明らかになった。さらにMeCP2欠損ニューロン、神経幹細胞においていくつかのmiRNAが共通して発現量の減少を示すことが明らかになった。同定された標的候補miRNAを海馬ニューロンに発現させたところ、異常な興奮性シナプス伝達および興奮性シナプス密度、cell size減少などのMeCP2欠損ニューロンの代表的な各種表現型が改善された。次に我々は標的miRNAの下流でmTORシグナルを負に制御する下流因子の探索・同定を試みた。その結果、標的miRNAの下流標的因子として3つの遺伝子を同定した。これらの因子はMeCP2欠損脳においてタンパク質量の増大がみられ、MeCP2と共発現させるとMeCP2の機能が消失することなどが確認された。また、我々はいくつかの機能解析実験によりmTORシグナルが実際にMeCP2の下流で機能し、興奮性シナプス伝達、cell growthを制御していることを確認している。これらの結果はMeCP2が特定のmiRNAプロセシングを介して、mTORシグナルを負に制御する因子群の発現を抑制することでmTORシグナルを正に制御すること、これらの分子メカニズムの破綻によりRett症候群の病態が引き起こされることを示唆している。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
Nat Commun
巻: 6 号: 1 ページ: 6514-6514
10.1038/ncomms7514
PLoS One
巻: 9 号: 6 ページ: e100215-e100215
10.1371/journal.pone.0100215