公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
昨年度の研究で、腸内細菌が抗原非特異的なIgA抗体によって被覆されている事を観察し、その評価系を確立した。この現象がIgE産生などの宿主反応に重要な影響を与えている可能性を考えて研究を進めた。まず、IgAに非特異的に結合するBacteroides Thetaiotaomicron(B.Theta)を用いて、IgAとの結合に必要なバクテリア側の因子が存在するかどうかを調べた。トランスポゾンを用いた遺伝子変異の誘発をB.Thetaに対して行い、IgAに結合しない変異体をフローサイトメトリーを用いて繰り返し単離した。この結果、数種類の遺伝子に対するトランスポゾンの挿入によってIgAへの結合が阻害される事が明らかとなった。そこで、これら該当遺伝子を欠損するB.Theta株を作製した。同定したB.Thetaにおける遺伝子の作用を評価する為に、SPFマウスに対して様々な抗生物質の組み合わせを試した所、メトロニダゾールとシプロフロキサシンの経口投与によってBacteroides属を消失させる事ができる事が明らかになった。この抗生物質処理マウスにB.Thetaを経口投与する事によって、BacteroidesとしてB.Thetaのみを有する評価系を作成した。この評価系において野生型と遺伝子欠損株のB.Thetaを定着させて宿主マウスの大腸粘膜固有層に存在する免疫細胞を比較した所、T細胞からのサイトカイン産生や、制御性T細胞を含めたT細胞サブセットには大きな変化を認めなかった。そこで、上記マウスから大腸上皮細胞を単離して包括的な遺伝子発現解析を行ってみた所、野生型と遺伝子欠損株の定着によって明らかな違いが生じている事が判明した。以上の結果は、腸内細菌がIgAに非特異的に結合する事で宿主の粘膜機能に対して影響を及ぼしている事を示唆しており、現在さらに詳細な検討を継続している。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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International Immunology
巻: 26(9) 号: 9 ページ: 489-494
10.1093/intimm/dxu059
40020265779