公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
哺乳類の発生過程で、胸腺および副甲状腺は共通の原基から発生し、器官全体が、それを取り囲む間充織細胞群の中を移動してゆく。この際、移動の駆動力の発生源や方向性を決定する分子機構などはほとんど分かっていない。本研究では、まず、胸腺および副甲状腺は共通の原基と、間充織細胞群との相対的な位置関係を時系列に添って明らかにするために、任意の細胞と接触した細胞を遺伝学的にラベルして履歴として残す方法を開発することを目指した。昨年度までに、本方法の開発に必要な遺伝子群のクローニングとキメラ遺伝子の作製を行った。クローニングの過程でさまざまな問題点が生じて予定よりも大幅に遅れたが、必要なツールを揃えることができた。そこで本年度は、培養細胞系を利用して期待したような動作(接触して隣合った細胞に対してシグナルが伝わり、遺伝的なラベルが入るかどうか、さらには、哺乳類の系と線虫ホモログの系が互いに干渉しないかどうか)を調べた。しかし、期待したような動作を示さず、さらに工夫を重ねたものの、完成には至らなかった。一方、副甲状腺の移動に異常が生じるmafB欠損マウスを用いて、移動を制御する候補分子の探索を行った。細胞間の反発に関与するEphA1および細胞接着に関与するP-Cadherinの発現が、mafB欠損マウスの副甲状腺では消失していたので、EphA1欠損マウスとP-Cadherin欠損マウスについてそれぞれ副甲状腺の移動を観察したが、変化は見られなかった。また、mafB欠損マウスでは副甲状腺ホルモンの発現が消失することが分かっていたので、その分子機構を探索し、MafBが転写因子Gcm2、Gata3、SP1と恊働して副甲状腺遺伝子ホルモンのエンハンサーを活性化することを明確に示すことに成功し、さらに副甲状腺機能低下症の原因遺伝子であるGata3のさまざまな変異の評価も行った。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
Molecular and Cellular Endocrinology
巻: 409 ページ: 113-120
10.1016/j.mce.2015.04.018
Development
巻: 141 号: 14 ページ: 2885-2894
10.1242/dev.099150