公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
腎臓は後腎間葉と尿管芽という2つの組織の相互作用によって発生する。我々は、核内因子Sall1が腎臓発生に必須であること、Sall1を高発現する間葉中に多能性の前駆細胞が存在し、これから糸球体、尿細管など腎臓の機能単位(ネフロン)を構成する多系統の細胞が分化してくることを明らかにした。本計画では、Sall1欠失によってネフロン前駆細胞が維持されない変異マウスと、前駆細胞を蛍光追跡できるマウスを組み合わせて、ネフロン前駆細胞の動きとその制御機構を解明することを目的とした。Sall1の欠失によって、前駆細胞は自己複製能が低下して早期に分化し、さらに細胞死によって消失した。マイクロアレイと全ゲノムクロマチン免疫沈降シーケンス (ChIP-seq) から、Sall1が、ネフロン前駆細胞においては下流遺伝子の転写を促進して未分化状態を維持し、分化中の初期ネフロンでは異常な転写を抑制して正常な状態を保つことが明らかになった。さらにネフロン前駆細胞においてSall1はSix2とともに、重要な腎臓形成遺伝子群の制御領域に直接結合する一方、Six2が存在しない初期ネフロンにおいては、Sall1はMi2/NuRD複合体と結合して転写を抑制することも見出した。これらの過程において、前駆細胞が枯渇することをSix2GFPのタイムラプス観察で同定したものの、その細かい動態は、腎臓組織の厚さと蛍光の弱さに阻まれて解明できなかった。器官培養法及び使用する遺伝子改変マウスの工夫で今後も改善を目指したい。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Am. Soc. Nephrol.
巻: 25 号: 11 ページ: 2584-2595
10.1681/asn.2013080896
http://www.imeg.kumamoto-u.ac.jp/divisions/integrative_cell_biology/