配分額 *注記 |
7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2014年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2013年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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研究実績の概要 |
本研究では、内部に極性や形態の変化などの自由度を持つ要素=細胞の集団が、1細胞のスケールを超えた秩序を作り出す協同現象が生まれる仕組みを、数理科学の方法を用いて解明した。 1.細胞極性と形態変形を加味した細胞運動の確率微分方程式モデルを提案し、細胞の形態変形が走化性の情報処理に及ぼす影響を示した。(Hiraiwa et al. (2014) Phys. Biol.) 2.細胞性粘菌の走化性シグナル伝達系が自発的に一様性を破り、非対称性を作り出す仕組みが興奮性であることを実験的に示した。さらに、走化性誘引物質の勾配を検出するときも同じ興奮性の仕組みが使われていて、興奮性がバイアスされることで勾配が検出できることを示した。(Nishikawa et al. (2014) Biophys. J. 柴田達夫, 西川正俊, 上田昌宏 (2014) 細胞工学. Shibata et al. (2013) Biophys. J.) 4. 細胞性粘菌は走化性に非依存的な集団運動を示すことが知られている。本年度は、そのための実験系を立ち上げ、PIVなどの画像解析の手法によって集団運動の動態を解析した。さらに細胞性粘菌の細胞間接着に依存的な集団運動の数理モデルを構築した。この方法において細胞の極性運動、持続的運動(persistent motion)、極性のある細胞間接着を考慮に入れた。数値計算から細胞間の接着が一過的であるにもかかわらず、細胞集団として運動の方向性を獲得する集団運動を見いだすことが出来た。 5. 細胞性粘菌の走化性シグナル伝達系における、自発的な非対称性形成の数理モデル(偏微分方程式)の分岐解析を行った。(Nakamura 2015 in prep.) 6. 上皮細胞が接着を維持したまま集団で特定の方向に移動する集団移動を理論的に調べるために、vertex modelを用いた数理モデルを構築した。それぞれの細胞の性質が、どのように組織レベルの運動性に反映されるのかを理論的に調べることができた。(Sato, Hiraiwa, et al. 2015 submitted)
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