公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
FBXL3とFBXL21は互いに最も近縁なF-boxタンパク質であるが、それぞれCRYの分解促進と安定化という拮抗的な作用を示す。本研究では、これら2種のE3リガーゼが形成するCRYのポリユビキチン鎖の結合様式やユビキチン化部位の違いに着目し、この拮抗作用をスイッチする可能性のある分子としてUSP7を同定した。さらに、CRYとの相互作用分子として新しくTDP-43を同定した。TDP-43の過剰発現はCRYを安定化して細胞時計の振動周期を短縮し、機能阻害はCRYを不安定化して時計の周期を延長した。このように、CRYの安定性制御に関わる因子の機能解析を通じ、概日時計における時計タンパク質の安定性制御の重要性を示すことができた。私共はこれまで、CRY2のSer557がDYRK1Aキナーゼによりリン酸化されるとSer553がGSK3betaにより二次リン酸化されてプロテアソーム依存的に分解されることを報告した。本研究では、このリン酸化依存的なCRY2分解の生理的意味を理解するためSer557をAlaに置換したノックインマウスを作製した。その結果、この分解系は、細胞質においてCRY2の過剰蓄積を抑制するように働き、マウスの行動リズムを強く制御していることを明らかにした (MCB, 2014)。また本研究では、時計タンパク質BMAL1をユビキチン化して分解に導くE3リガーゼUBE3A/E6APを同定した。UBE3Aは正常細胞においてBMAL1分解を介して時計振動に重要な役割を果たすことを示すと共に、HPV感染時にはE6依存的に活性化されたUBE3A がBMAL1を過剰分解して時計振動を停止させることを見出した(NAR, 2014)。さらに、時計タンパク質DBPのリン酸化部位とユビキチン化部位を同定し、相互作用するリン酸化酵素とE3リガーゼを同定した。今後これらの機能解析を通じて、DBPタンパク質の安定性と転写活性の時刻依存的な制御機構を明らかにしたい。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (19件) (うち招待講演 7件) 備考 (2件)
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http://www.biochem.s.u-tokyo.ac.jp/fukada-lab/index-j.html