配分額 *注記 |
7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2014年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2013年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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研究実績の概要 |
脊椎動物の細胞には繊毛と呼ばれる突出した構造が存在している。中でも運動性を持つ繊毛は様々な器官の発生や機能に重要であり、その運動性は軸糸ダイニンという巨大タンパク質複合体によって駆動される。我々が報告したKtuを含むPIHドメインを持つタンパク質ファミリー(PIHタンパク質)は脊椎動物からクラミドモナスまで広く保存されており、様々な種で軸糸ダイニンの複合体形成を介して繊毛の運動性に関わることが示唆されている。しかし、脊椎動物に存在する4種のPIHタンパク質(Ktu, Pih1d1, Pih1d2, Pih1d3/Twister)が全て繊毛の運動性に関わるのかについては不明であった。我々はゼブラフィッシュを用い、これまでに繊毛運動性への寄与についての報告がなかったPih1d1およびPih1d2についてTALEN法により変異体を作製した。さらに、KtuおよびTwisterについてもモルフォリノオリゴを用いた機能阻害を行い、繊毛運動性について解析を行った。 平成26年度は高速度カメラを購入し、クッペル胞上皮細胞の繊毛運動を詳細に解析した(1000コマ/秒)。その結果、Ktuの機能阻害胚では100%の細胞で繊毛が不動となった。一方Twisterの機能阻害胚では約50%の細胞で繊毛が不動となり残りの細胞においても運動性が著しく低下していた。さらに、Pih1d1変異体では運動の速度が40%程度低下すること、Pih1d2変異体では不動(約20%)、不規則な運動性(約25%)、運動性の低下(約55%)の表現型を示すことを明らかにした。したがって、本研究で初めて明らかとなったPih1d1, Pih1d2を含む脊椎動物の4種のPIHタンパク質は全て繊毛の運動性に必要であり、その寄与は遺伝子ごとに異なることが示された。本研究は繊毛不動症候群の原因解明のための重要な知見を提供するものと考えられる。
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