公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
紡錘体チェックポイント因子BUBR1が先天的に欠損すると、染色体数の不安定性(CIN)を特徴とするPCS症候群を発症する。PCS症候群は、染色体不安定性に起因する高発がん性を特徴とするが、一次シリアの形成不全による多発性腎嚢胞とDandy-Walker奇形も伴っており、「シリア病」でもあることが明らかとなっている。本研究は、PCS症候群のシリア形成不全のメカニズム解明を目的としている。PCS症候群患者細胞のシリア形成不全の原因としてPLK1活性の亢進が考えられた。最初に、PCS症候群患者細胞へのPLK1 siRNAを介したノックダウンを行った。その結果、シリア形成が部分的に回復したことから、PLK1はシリア形成を抑制することが示唆された。次に、PLK1の下流で繊毛形成を抑制する分子として、PLK1の基質である微小管脱重合活性をもつキネシンモーター分子KIF2Aに着目した。in vitro kinaseアッセイ法によりKIF2AのPLK1によるリン酸化部位を同定した。変異体解析により、PLK1によるKIF2Aリン酸化がその微小管脱重合活性を亢進させてシリア退縮を誘導することが明らかになった。また、人工ヌクレアーゼTALENsを用いて樹立したKIF2A欠損hTERT-RPE1細胞株では、静止期以外での異常な繊毛形成が引き起こされたことから、KIF2Aは生理的なシリア抑制に必須の分子であることが示された。さらに、抗リン酸化KIF2A抗体を作製して、PCS症候群患者細胞のPLK1によるKIF2Aリン酸化状態を検討したところ、患者細胞では細部周期を通じてKIF2Aリン酸化が亢進していた。これらの結果から、PLK1-KIF2A経路の恒常的な活性化がPCS症候群のシリア形成不全の分子病理機構の1つであることを証明した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (22件) (うち招待講演 2件)
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