公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
血管収縮・拡張には、カテコラミンやNOなどが関わる。我々は、HB-EGFの結合タンパクとして同定したナルディライジン(NRDc)が、ADAMの活性化を介して膜タンパクのシェディングを増強することを明らかにした。さらに最近、NRDc欠損マウスが、髄鞘低形成を呈することを報告した。同マウスは著明な低血圧を呈するが、交感神経活動は亢進していることから、低血圧の原因は末梢血管収縮不全であると考えられた(未発表)。その原因として、血管平滑筋におけるカテコラミン受容体のシグナル伝達不全が考えられた。そこで、カテコラミン受容体の下流にあるPKAやERKの活性化を生体内で可視化できる、FRETバイオセンサーを発現するトランスジェニックマウス(PKAchuやEKAREV)と、血管平滑筋特異的NRDc欠損マウスを交配し、抵抗血管におけるカテコラミンへの反応性をin vivo imagingで観察し、NRDcによる血管収縮・拡張や炎症時の血管透過性亢進の制御機構解明の一助とすることを目的とした。しかしながら、血管平滑筋特異的NRDc-CKO(sm22α-NRDc-CKO)の血圧は、対照群と比較して有意な変化を認めなかったため、交感神経特異的NRDc-CKO(DBH-NRDc-CKO)の解析を行ったところ、有意な血圧低下を認めた。以上より、NRDc欠損による血圧低下の原因は、血管平滑筋そのものよりも、交感神経に寄与する部分が大きいと考えられた。そこで、in vivo imagingについての方針を変更し、PKA-Sm22αNRDcCKOマウスに加えて、PKA-DBH-NRDcCKOマウスの解析を開始した。二光子励起顕微鏡を用いて、PKA-Sm22αNRDcCKOマウスとコントロールマウスにおける血管収縮の様子を観察したが、両群で血管収縮率に差を認めなかった。今後は、PKA-DBH-NRDcCKOマウスとコントロールマウス間でも同様の検討を行い、血管収縮率に差を認めるようであれば、FRETの解析を進めてつつ、分子メカニズムの解明に迫る。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (2件)
Nature Communications
巻: 5 ページ: 3224-3224
120005367798
Neurobiol Aging
巻: 35 号: 1 ページ: 213-22
10.1016/j.neurobiolaging.2013.07.014
http://kyoto-u-cardio.jp/kisokenkyu/sentan-bunshi/