公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
胸腺の自己反応性T細胞の選択は自己免疫を抑制するために重要な役割を果たす。本研究は胸腺スライス培養と2光子イメージングにより胸腺細胞の選択の過程の現場を可視化して、胸腺細胞の選択過程の時空間的な制御機構を明らかにすることを目的とした。今年度においては制御性T細胞に分化する過程の可視化を試みた。制御性T細胞は自己免疫を抑制する重要なT細胞である。制御性T細胞特異的な転写因子であるFoxp3遺伝子座にFoxp3 IRES GFPをノックインしたマウスを用いて制御性T細胞を可視化した。そのマウスから胸腺細胞を胸腺スライスに導入し培養したところ約4日後に30-50%の細胞が制御性T細胞に分化した。2光子イメージングにより制御性T細胞への分化は2日目まで、クローンの拡大は4日目までに起こることが明らかと成った。このことから胸腺細胞の選択の現場を時空間的に解析することができる実験系が確立された。さらに、この胸腺イメージングの実験系を改良し、胸腺細胞の接着シグナルを活性化型Rap1の蛍光親和性プローブをレンチウイルス法により遺伝子導入して可視化した。Rap1がT細胞のインテグリンの活性化に重要な分子である。活性化型Rap1はSP細胞では膜に局在し、移動中にしばしば細胞の前方先端に集積する様子が観察された。それらの抗原特異的な細胞凝集塊においては、抗原を提示している髄質上皮細胞との接着面に集積していていることが明らかとなった。活性化LFA-1と結合するtalin1を蛍光プローブとして用いた場合でも同様の結果を得た。この実験により組織中の胸腺細胞のインテグリンのダイナミックな制御活性化が初めて明らかとなった。今まで、ex vivoで成熟マウスにおける胸腺細胞の選択機構を詳細に解析する実験系は開発されておらず、この系を利用して新たな胸腺の選択のメカニズムが明らかになることが期待される。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件)
J Immunol
巻: 193 号: 2 ページ: 617-626
10.4049/jimmunol.1400565
PLoS One.
巻: 8(9):e73874. 号: 9 ページ: e73874-e73874
10.1371/journal.pone.0073874
医学のあゆみ
巻: Vol.247,No6 ページ: 565-566