公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
研究代表者らのこれまでの解析から、匂い情報処理の一次中枢(嗅球)から高次中枢へと至る神経回路について、その解剖学的な神経接続様式が明らかとなっている。しかしながら、個々の神経回路素子が担当する匂いの種類や出力行動など、機能的な神経配線図はほとんど解明されていない。本研究では、これまでに確立した「ゼブラフィッシュにおける遺伝子工学的単一ニューロン可視化技術」をさらに発展させ、嗅覚系の機能的神経配線図の解読にアプローチした。感覚刺激および誘起される行動にともなって活性化する神経回路素子の可視化を目的として、immediate early gene(IEG)プロモーターの制御下に、蛍光タンパク質とCreERを同時発現するトランスジェニック系統の樹立を行った。このシステムでは、エストロゲン誘導体の種類や濃度を調節することによって、CreERが機能できるタイムウィンドウを限定し、特定の行動とリンクした神経回路素子を抽出して可視化することが可能となる。まず、IEGとして一般的に利用されているc-fos遺伝子を用いてBACトランスジーンを作製し、ゼブラフィッシュの一過性発現系を用いて神経活動依存的な転写誘導能を検討した。しかしながら、神経活動依存的な蛍光タンパク質の発現誘導は確認できなかった。そこで、最近、神経活動とリンクした発現が報告されているnpas4遺伝子を利用して、同様にBACトランスジーンを作製した。一過性発現系を用いた解析の結果、BAC-npas4トランスジーンは神経活動依存的な転写誘導スイッチとして機能することが明らかとなった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Nature Communications
巻: 5 号: 1 ページ: 3639-3639
10.1038/ncomms4639
http://www.riken.jp/pr/press/2014/20140409_1/