公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
植物の細胞質分裂は、細胞壁と細胞膜からなる細胞板が、微小管を主成分とする細胞質分裂装置(フラグモプラスト)の中で拡大成長することにより達成される。本研究では、植物の細胞質分裂を制御する中心的な制御系であるMAPキナーゼカスケードを基軸として、この経路の構成因子の機能及び、下流因子の探索・解析を行い、細胞板形成の分子機構を明らかにすることを目的とした。まず、シロイヌナズナの細胞板形成を正に制御するMPK4 MAPキナーゼにより特異的にリン酸化される微小管結合タンパク質の同定を進め、複数の新しい下流因子の候補を得ることができた。次に、MAPキナーゼカスケードの活性化因子として同定されたNACK1キネシンが、モーターキネシンとして細胞板形成に直接関与している可能性を示した。NACK1キネシンは、細胞板形成部位において、MAPKKK NPK1と結合することによりMAPKカスケードを活性化し、フラグモプラストの動的不安定を引き起こす。今回、NACK1のデリーションミュータント等を用いたイメージング解析により、NACK1のモータードメインに加えて、ストーク領域のC末端がこの分子の微小管結合活性及びモーター活性に影響を与えることが分かった。さらに薬理学的な解析を進めたところ、膜小胞の形成を阻害するBrefeldin A (BFA) により、NACK1の細胞板形成部位への局在が効果的に阻害されることが明らかとなった。この結果は、NACK1の微小管結合能やモーター活性に輸送小胞が関連していること、NACK1は、BFA感受性の積み荷を細胞板に輸送する可能性を示唆している。本研究により、植物の細胞板形成に必須の因子であるNACK1が、MAPキナーゼカスケードの活性化を介してフラグモプラスト微小管の動的制御を行っているだけでなく、輸送キネシンとして細胞板形成に直接関与している可能性が示された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 1件)
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