公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究は、質量解析計を駆使し、単純ヘルペスウイルス(HSV)がコードするウイルス因子と宿主因子の相互作用に基づく、ウイルス病態発現機構および宿主細胞制御機構を解明することを目標とした。我々は、リン酸化ペプチドの特異的濃縮方法を利用したリン酸化プロテオーム解析により、HSV感染細胞における607種類のリン酸化部位を同定した(J. Virol. 88: 655-666. [2014])。本解析で同定されたウイルス因子vdUTPase Ser-187のリン酸化は、マウス病態モデルにおいて、HSVの効率的な中枢神経破壊能に必要である一方、抹消組織における病態発現能(ヘルペス性角膜炎等)には影響が認められなかった(J. Virol. 88: 2775-2785. [2014])。本表現系の分子機構を探索した結果、Ser-187のリン酸化は、vdUTPaseの酵素活性を促進することで、宿主細胞がコードするdUTPaseの酵素活性が低い環境下(Ex. 脳)においても、十分なdUTPase活性を供給し、HSVゲノムの変異率を低下させ、HSVの中枢神経破壊能を高めることが明らかとなった(J. Virol. 88: 7776-7785. [2014], J Virol. 89:241-8. [2015], 下図参照)。本知見は、HSVの遺伝子治療用ベクター開発や腫瘍溶解治療法等の医学応用上、重要な基礎的知見となりうると考えられる。次に、定量的リン酸化プロテオーム解析により、HSVがコードするウイルス特異的なプロテインキナーゼであるUs3が司る宿主細胞因子のリン酸化部位を包括的に探索した。一連の解析から、我々はUs3がEndosomal sorting protein SNX3 Ser-72のリン酸化を介して、逆行性小胞輸送経路を活性化することで、ウイルス因子のLysosomal Degradationを阻害し、効率的な子孫ウイルスの産生を促進することを明らかにしつつある。我々は、本研究で解明された包括的なリン酸化情報を基盤し、今後も精力的にHSV研究を展開する予定である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 15件、 オープンアクセス 12件、 謝辞記載あり 8件) 学会発表 (38件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Journal of Virology
巻: 印刷中
Microbiology and Immunology
巻: 印刷中 号: 6 ページ: 331-7
10.1111/1348-0421.12255
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10.1128/jvi.03079-14
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Jounarl of Virology
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J Virol
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10.1371/journal.pone.0072050
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/kawaguchi-lab/kawaguchilabtop.html