公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
ヒトのAPOBEC3Gタンパク質(A3G)は、HIVのプラス鎖ゲノムRNAから中間体として生成されるマイナス鎖DNAに作用し、シトシン塩基を脱アミノ化してウラシル塩基に変換する。これによってHIVの遺伝情報は破壊され、A3Gは抗HIV活性を発揮する。A3Gの立体構造は決定されたが、標的である1本鎖DNAとの複合体の構造は未だ報告が無く、相互作用様式に関する情報は乏しい。そこで今回、標的DNAの残基を一個ずつ順にリボヌクレオチドに置換した変異体DNA、及びエイベイシックデオキシヌクレオチド(塩基を消失したヌクレオチド) に置換した変異体DNAを用意し、CCC配列の3番目のシトシン塩基の脱アミノ化反応をリアルタイムNMR法によって追跡し、DNA上の何番目の残基のどの位置の原子が酵素反応効率に影響を与えるのかを検証した。その結果、CCC配列及びその両隣の合計5個の残基に関し、リボースへの置換によってA3Gの酵素反応速度が落ちる事が分かった。またこの5個の残基の塩基を消失させると、A3Gの酵素反応速度が落ちる事も分かった。これら5個の残基の糖と塩基は、A3Gと直接的・間接的に相互作用して、酵素反応に関与していると考えられる。A3GのDNA上のスライディングによって、CCC配列が5’端近くに位置するほど脱アミノ化反応が早く進行する現象に関し、連続した20残基程度にリボヌクレオチド及びエイベイシックデオキシヌクレオチドへの置換を施し、反応速度の変化をリアルタイムNMR法によって検証した。その結果、A3Gのスライディングには、DNAのリン酸基との静電相互作用が寄与している事が示唆された。反応速度のイオン強度依存性を同様な手法で調べた結果、この考えが支持された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 備考 (2件)
PLOS ONE
巻: 10 号: 4 ページ: e0124142-e0124142
10.1371/journal.pone.0124142
120005668069
生物物理
巻: -
Angew. Chem. Int. Ed. Engl.
巻: 53 号: 9 ページ: 2349-2352
10.1002/anie.201309940
120005647511
http://www.iae.kyoto-u.ac.jp/bio/