公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
ウイルス粒子の最外殻を構成する外被蛋白質は、宿主免疫との攻防に曝され、常時変化する。その際、ウイルスの存続に必須の蛋白質機能を維持する必要があり、無秩序な変化は許されない。しかし、変化の秩序を司る原理はほとんどわかっていない。本研究では、この制御原理の解明を目的とした。研究成果は、ウイルスの高度可変蛋白質の進化上の弱点や進化の方向性のより良い理解に繋がり、感染症対策研究の基盤を提供する。(1)ノロウイルスカプシドの変化の秩序:公共データベース由来のカプシド全長配列(n=930)のアライメントより相互相関行列を構築し、ランダム行列理論によりノイズを除去することで、“必然的に”共変異している部位(セクタ)を推定した。カプシドには4つのセクタが存在し、カプシドの機能領域(血液型抗原結合部位周辺、および二量体境界面)に位置することがわかった。セクタにはエピトープが含まれることから、抗体の標的となるアミノ酸残基は、機能的ネットワークを構成し、他の特定部位と共変異する必要があることがわかった。(2)ヒト免疫不全ウイルスエンベロ-プgp120の変化の秩序:Gp120の全長構造モデルを構築し、分子動力学計算によりアミノ酸残基の溶液中の揺らぎの相互相関行列を構築し、ランダム行列理論によりノイズを除去することで、“必然的に”連動する部位(セクタ)を推定した。Gp120には3つのセクタが存在し、機能領域を連結する未報告のアロステリックパスが存在することがわかった。以上、数理科学の理論とコンピュータ科学を取り入れて、蛋白質の機能を維持しながら秩序だった変化を行うためのアミノ酸ネットワークを包括的に予測した。今後、セクタの生物学的機能を実験で、物理化学的機能をコンピュータ科学で検証する予定でいる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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