公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究では、プロスタグランジン(PG)産生に関わる酵素のうち、細胞内ホスホリパーゼA2(PLA2)、長鎖アシルCoA合成酵素(ACSL)、PG最終合成酵素群に注目し、PG様脂質性メディエーター産生フローの全体像を明らかにすることを目的としている。本年度は、これらPG産生関連酵素群に含まれるいくつかの酵素の遺伝子改変マウス、ノックダウン細胞を用い、以下の点を明らかにした。1. 細胞内PLA2のうちiPLA2γを、(1)マウス肺癌細胞LLCにおいてノックダウンすると、PGE2産生の低下に伴い細胞増殖が抑えられること、(2)ヒト膀胱癌細胞EJにおいてノックダウンすると、細胞増殖に影響はみられないもののシスプラチンに対する感受性が増すことを明らかにした。iPLA2γは癌細胞において様々な機能を有することが示された。2. iPLA2γの遺伝子欠損(KO)マウスと同様に、iPLA2βのKOマウスにLLCを皮下投与した際に形成される腫瘍も、野生型(WT)マウスに投与した場合に比べ有為に小さかった。宿主側のiPLA2βとiPLA2γが協調的にはたらき、癌の進展に関わることが示唆された。3. PG最終合成酵素の1つ、膜結合型PGE合成酵素-1(mPGES-1)のKOマウスの背部にDMBA/TPAを塗布し皮膚がんを惹起したところ、WTマウスと比べ、皮膚がんの発症が抑えられることがわかった。mPGES-1を介し産生されるPGE2が皮膚がんの発症に深く関わることが示唆された。4. ACSLの1つ、ACSL4のKOマウスは雌性生殖異常を示し、仔をうまなかった。現在、この異常を引き起こすメカニズムについて検討中である。また、ACSL4をノックダウンした細胞から検出された新奇脂質代謝物5, 11-diHETEが、ACSL4 KOマウスの肺にも存在することを見いだした。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (35件) 図書 (1件)
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