公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
ダイニンもダイナクチンも、ともに巨大で複雑な構造をもつ超分子複合体であるが、それらの構造と両者の相互作用については明らかでないことが多い。本研究では、ヒトHEK細胞で発現した組換え体ダイニンと組換え体ダイナクチンについて、金ナノ粒子を部位特異的に標識し、電子顕微鏡で観察してサブユニットの位置関係を明らかにした。特に、ダイニンの尾部構造中の中間鎖、中間軽鎖、軽鎖の位置を特定した結果、従来想定されていたサブユニットの配向と順序が逆であることがわかった。また、ダイナクチンのサイドアームにヘッドから突出する繊維状構造(アンテナ)があることを発見した。このアンテナ部分は、ダイニン結合部位であることが知られているp150のCC1領域であると同定した。CC1はコイルドコイルの二量体が中央付近で折れ曲がり、逆並行の4量体を形成していることが示唆された。このCC1部位の断片を作製して、ダイニンに対する影響を調べたところ、本来、ダイニンの運動連続性を高めると考えられているダイナクチンの効果とは逆に、ダイニンと微小管の親和性を弱めて、ダイニンを微小管から引き剥がす効果があることが見出された。この効果は、ダイナクチンp150のバリアントのうち、K-richドメインをもたないダイナクチン1Bについても見られることから、ダイナクチン複合体がもつ本質的な生理作用であることが示唆された。このことから、ダイナクチンは1AにみられるK-richドメインによる微小管への親和性の増加と、CC1ドメインによるダイニンの微小管への親和性の低下の、両方の側面をもつ複雑なレギュレーターであることがわかった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (19件) (うち招待講演 3件)
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