筋原線維形成のシグナル伝達機構の包括的解明とその破綻による筋疾患・心筋症

• 研究領域: 翻訳後修飾によるシグナル伝達制御の分子基盤と疾患発症におけるその破綻
• 研究課題/領域番号: 25117706
• 研究種目: 新学術領域研究(研究領域提案型)
• 配分区分: 補助金
• 審査区分: 生物系
• 研究機関: 千葉大学
• 研究代表者: 遠藤 剛 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30194038)
• 研究期間 (年度): 2013-04-01 – 2015-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2014年度)
• 配分額: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円); 2014年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円); 2013年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
• キーワード: シグナル伝達 / IGF-1シグナリング / 筋原線維 / アクチン線維 / N-WASP / nebulin / 筋疾患 / 心筋症

研究実績の概要

骨格筋筋原線維のアクチン線維形成は，IGF-1シグナリングにより，nebulin (Neb)のC末端のSH3ドメインにN-WASPが結合し，両者の間でアクチン重合核が形成され，さらにNebに沿ってZ帯からアクチンが重合することにより起こることをこれまでに明らかにした．NEB遺伝子の突然変異は先天性筋疾患ネマリンミオパチーの原因となる．一方，心筋においては，Nebの代わりに存在するnebulette (Nebl)のSH3ドメインにN-WASPが結合して，N-WASPはZ帯に局在化し，アクチン線維形成に働いていた．NEBL遺伝子の突然変異は拡張型心筋症の原因となる．そこで骨格筋と心筋におけるN-WASPを介したアクチン線維形成の破綻が，これらの筋疾患や心筋症につながることを実証するために，骨格筋や心筋特異的な誘導性N-WASPコンディショナルノックアウト(cKO)マウスの作製を行った．N-WASPゲノムDNAをloxP配列で挟んだターゲティングベクターを用いてキメラマウスを作製し，さらにfloxedヘテロ接合マウスを得た．これらのfloxedヘテロ接合マウスと心筋特異的Myh6プロモーターにつないだCre-ERT2 Tgマウスを交配させて，誘導的に心筋でN-WASPの発現を欠損するマウスを作製した．これらのマウスに4-hydroxytamoxifenを投与すると，心筋でのみN-WASPの発現が消失した．これにより，作製したマウスは誘導性の心筋特異的N-WASP cKOマウスであることが確認できた．成体マウスにおいて持続的にN-WASPの発現を消失させて，拡張型心筋症の表現型が現れるかどうかを解析している．一方，floxedヘテロ接合マウスと骨格筋特異的Acta1プロモーターにつないだCre-ERT2 Tgマウスを交配させて，誘導性の骨格筋特異的N-WASP cKOマウスの作製を進めている．

現在までの達成度 (段落)

26年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

26年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] Molecular mechanisms of skeletal muscle development, regeneration, and osteogenic conversion (2015)
  • 著者名/発表者名: Endo, T.
  • 雑誌名: Bone 巻: 印刷中 ページ: 2-13
  • DOI: 10.1016/j.bone.2015.02.028
  • 査読あり / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] DA-Raf-dependent inhibition of the Ras-ERK signaling pathway in type 2 alveolar epithelial cells controls alveolar formation. (2014)
  • 著者名/発表者名: Watanabe-Takano H, Takano K, Sakamoto A, Matsumoto K, Tokuhisa T, Endo T, Hatano M.
  • 雑誌名: Proc Natl Acad Sci U S A. 巻: 111 号: 22
  • DOI: 10.1073/pnas.1321574111
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] The nebulin SH3 domain is dispensable for normal skeletal muscle structure but is required for effective active load bearing in mouse (2013)
  • 著者名/発表者名: Yamamoto, D. L., Vitiello, C., Zhang, J., Gokhin, D. S., Castaldi, A., Coulis, G., Piaser, F., Filomena, M. C., Eggenhuizen, P. J., Kunderfranco, P., Camerini, S., Takano, K., Endo, T., Crescenzi, M., Luther, P., Lieber, R. L., Chen, J., Bang, M.-L.
  • 雑誌名: J. Cell Sci. 巻: 126 ページ: 5477-5489
  • DOI: 10.1242/jcs.137026
  • 査読あり
• [学会発表] Ras-ERK経路を阻害するDA-Rafのドミナントネガティブ作用の分子機構 (2014)
  • 著者名/発表者名: 中村拓彦，高野和儀，遠藤 剛
  • 学会等名: 第87回日本生化学会大会
  • 発表場所: 国立京都国際会館（京都市）
  • 年月日: 2014-10-18
• [学会発表] DA-Rafによるがん化抑制：ストレスファイバー回復の分子機構 (2014)
  • 著者名/発表者名: 今野太貴，中村拓彦，高野和儀，遠藤 剛
  • 学会等名: 第87回日本生化学会大会
  • 発表場所: 国立京都国際会館（京都市）
  • 年月日: 2014-10-18
• [学会発表] 2型肺胞上皮細胞におけるDA-Raf依存的Ras-ERKカスケードの抑制が肺胞形成を制御する (2014)
  • 著者名/発表者名: 渡邊-高野晴子，高野和儀，坂本明美，徳久剛史，幡野雅彦，遠藤 剛
  • 学会等名: 第87回日本生化学会大会
  • 発表場所: 国立京都国際会館（京都市）
  • 年月日: 2014-10-18
• [学会発表] N-WASPとnebuletteは心筋肥大における筋原線維形成を制御する (2014)
  • 著者名/発表者名: 高野和儀，渡邊-高野晴子，遠藤 剛
  • 学会等名: 第87回日本生化学会大会
  • 発表場所: 国立京都国際会館（京都市）
  • 年月日: 2014-10-16
• [学会発表] M-Rasによる細胞外基質の石灰化と分化転換の分子機構 (2014)
  • 著者名/発表者名: 松岡 慧，木本 創，渡邊善仁，渡邊-高野晴子，高野和儀，遠藤 剛
  • 学会等名: 第66回日本細胞生物学会大会
  • 発表場所: 奈良県新公会堂（奈良市）
  • 年月日: 2014-06-13
• [学会発表] RhoDは増殖因子による細胞突起形成に働く (2014)
  • 著者名/発表者名: 細野淳一，福田陽一，小泉和久，高野和儀，遠藤 剛
  • 学会等名: 第66回日本細胞生物学会大会
  • 発表場所: 奈良県新公会堂（奈良市）
  • 年月日: 2014-06-11
• [学会発表] Nebulette and N-WASP participate in cardiac myofibrillar actin filament formation and cardiomyocyte hypertrophy
  • 著者名/発表者名: Takano K., Endo T.
  • 学会等名: 第65回日本細胞生物学会大会シンポジウム
  • 発表場所: ウインクあいち（名古屋市）
  • 招待講演
• [学会発表] Molecular mechanisms of the dominant-negative action of DA-Raf to hinder the Ras-ERK pathway
  • 著者名/発表者名: Arai, T., Takano, K., Endo, T.
  • 学会等名: 第65回日本細胞生物学会大会
  • 発表場所: ウインクあいち（名古屋市）
• [学会発表] Ras-ERKカスケードのアンタゴニストDA-Rafは肺胞形成を制御している
  • 著者名/発表者名: 高野晴子，幡野雅彦，坂本明美，高野和儀，徳久剛史，遠藤 剛
  • 学会等名: 第65回日本細胞生物学会大会
  • 発表場所: ウインクあいち（名古屋市）
• [学会発表] 筋収縮および細胞間・細胞内シグナル伝達を担うアクチン線維の形成機構
  • 著者名/発表者名: 遠藤 剛，高野和儀
  • 学会等名: 第86回日本生化学会大会シンポジウム
  • 発表場所: パシフィコ横浜（横浜市）
  • 招待講演
• [学会発表] N-WASPとnebuletteは筋原線維アクチンの重合核形成と心肥大にかかわる
  • 著者名/発表者名: 高野和儀，遠藤 剛
  • 学会等名: 第86回日本生化学会大会
  • 発表場所: パシフィコ横浜（横浜市）
• [学会発表] Ras-ERK経路を阻害するDA-Rafのドミナントネガティブ作用の分子機構
  • 著者名/発表者名: 中村拓彦，荒井崇良，高野和儀，遠藤 剛
  • 学会等名: 第86回日本生化学会大会
  • 発表場所: パシフィコ横浜（横浜市）
• [図書] Protein Modifications in Pathogenic Dysregulation of Signaling (2015)
  • 著者名/発表者名: Endo, T., Takano, K.
  • 出版者: Springer
• [図書] The Lung Perspectives 特集「肺癌Up-To-Date」 (2015)
  • 著者名/発表者名: 遠藤 剛，渡邊-高野晴子，高野和儀
  • 総ページ数: 112
  • 出版者: メディカルレビュー社
• [備考] 千葉大学 理学部 生物学科 遠藤研究室
  • URL: http://life.s.chiba-u.jp/telab/
• [備考] 千葉大学 理学部 生物学科 遠藤研究室
  • URL: http://life.s.chiba-u.jp/telab/