公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
申請時に腫瘍抑制因子Meninおよび転写抑制因子Gfi1の下流分子として着目したLaminA/Cの変異体(ヒトHutchinson-Gilford progeria :HGPSの原因となる)のBacトランスジェニックマウスを用いて、CD4 T細胞の機能分化や細胞老化についてin vitro培養系を用いて検討したが、変化は認められなかった。そこで、上流分子であるMeninとGfi1のT細胞エピゲノム変化における役割について解析を行なったところ、活性化Menin欠損T細胞においてBach2やTcf7といったT細胞分化に重要な役割を担うと考えられている遺伝子領域のヒストンH3K27アセチル化が著しく減弱するとともに、その発現が著しく減少することが明らかとなった。Tcf7は、T細胞においてナイーブ性の維持に関わっていることが報告されている転写調節因子であることから、続いてMenin欠損T細胞のナイーブ性維持と細胞老化について解析を行なった。Menin欠損マウスの脾臓やリンパ節において、ナイーブT細胞の減少が認められた。さらに、Menin欠損T細胞(CD4 T細胞とCD8 T細胞)は、活性化後の早期に細胞老化をきたすことが明らかとなった。老化した細胞の特徴の1つとして、senescence-associated secretory phenotype (SASP)と呼ばれる炎症性因子の高発現があるが、Menin欠損T細胞においてもSASPの早期誘導が起こった。このMenin欠損T細胞におけるSASP誘導には、前述のBach2が関与していることが分かっている。それに加え、Meninの下流に位置する新たな分子として、クロマチンの高次構造の維持に関与するSatb1を新たに同定している。以上の結果から、Meninは、エピゲノム調節を介してT細胞の老化を制御していると考えられる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) 備考 (2件)
Nature Comm
巻: 5 号: 1 ページ: 3555-3555
10.1038/ncomms4555
PLoS ONE
巻: 8 号: 4 ページ: e61785-e61785
10.1371/journal.pone.0061785
http://www.m.ehime-u.ac.jp/school/immunology/