公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
Lysine-specific demethylase 1(LSD1)は、ヒストンH3のlysine-4/lysine-9を脱メチル化する酵素で、HDACと転写抑制複合体を形成し、例えばNotch標的遺伝子の転写抑制に働くことが示されている。2008年にRosenfeldらは、LSD1が染色体構造をダイナミックに改変し、別々の染色体に位置するプロモーターを会合させ、転写を複合的に調節していることを報告した。申請者らは、造血幹細胞にDNA二重鎖切断部位が惹起されると、切断部位からの転写を抑制するためにLSD1複合体がリクルートされるが、LSD1に質的・量的異常が存在すると染色体転座が誘導されるという仮説のもとに本研究を開始した。まず種々の正常造血細胞と白血病細胞にてLSD1の発現をスクリーニングし、正常造血幹細胞では発現が低レベルに抑制されており、前駆細胞から成熟細胞で誘導される傾向を明らかにした。さらに白血病細胞では全般に発現が亢進しており、とくにT細胞性白血病にて発現が最も強かった。以上の結果から、正常造血幹細胞では抑制されているLSD1が強発現すると白血病を発症するという仮説を立て、その直接的な検証のため、造血幹細胞・前駆細胞特異的にLSD1を強発現するトランスジェニック・マウスを作製した。このマウスにおいては、造血幹細胞の自己複製の亢進とT細胞系へのプライミングが認められたが、1年半以上の観察でも造血障害や悪性腫瘍の発症は見られなかった。そこで生後4週の段階で放射線照射を施行したところ、約20週の潜伏期を経て、高率にT細胞性白血病を発症した。以上より、LSD1の強発現は白血病の発症におけるfirst hitとして働き、いわゆる前白血病性幹細胞(preleukemic stem cell)を形成、そこにsecond hitが加わると白血病を発症すると推測された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 3件) 備考 (1件)
BLOOD
巻: 125 ページ: 0000-0000
Leukemia
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http://www.jichi.ac.jp/stem/index.html