公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
平成26年度は、前年度実施した定型発達における行為主体感の発達過程の精査を引き続き実施した。具体的には、我々が乳幼児向けに開発した視線随伴課題(イメージ・スクラッチ課題)を用い、幅広い月齢の乳幼児の行為主体感の発達過程を検討可能か,課題の有効性を検証するとともに、行為主体感に関連する眼球運動の発達的変化を探索した。また、行為主体感に関連する眼球運動以外の指標の探索も実施した.まず,課題の有効性について述べる。サンプル数が足りなかった18か月児のデータを追加取得した。そのうえで、5カ月児・8カ月児・18カ月児・成人という異なる発達段階の被験者について、行為主体感にまつわる眼球運動の違いを検討した。その結果,イメージ・スクラッチ課題が運動発達の差異にとらわれることなく,幅広い月齢の乳幼児に適用可能な課題であることが示された。次に,それぞれの発達段階における眼球運動の差異について述べる。行為主体感を反映する眼球運動として、我々は視線随伴性の違反に対する探索と動機づけられた視線の操作に着目した検討を行っている。5か月児では視線随伴性に対する敏感性(随伴性検出)はあるものの動機づけられた視線の操作は見られない。8か月児では、随伴性検出のみならず動機づけられた視線の操作が見られた。一方、18か月児では動機づけられた視線の操作は見られたものの、随伴性検出の兆候は見られなかった。これらは、視線随伴性の検出や視線の操作が段階的に獲得されるという線形の発達モデルでは行為主体感の獲得過程が説明できないことを示唆する。特に、18か月児群では目の機能分化、すなわち目の「見る」機能への分化が、課題で加わる「削る」機能の発見を妨げ、見る経験の少ない5か月児や8か月児では新たな目の機能の追加を抵抗なく受け入れた可能性もある。複雑な発達過程を明らかにするためには、さらに多くのデータの蓄積が必要とされる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 2件)
Plos ONE
巻: 10 号: 2 ページ: 1-17
10.1371/journal.pone.0116494
Scientific Reports
巻: 4 号: 5498 ページ: 1-6
10.1038/srep05498
40021916666