ストレス環境が根端成長に及ぼす影響の数理モデル解析

• 研究領域: 大地環境変動に対する植物の生存・成長突破力の分子的統合解析
• 研究課題/領域番号: 25119707
• 研究種目: 新学術領域研究(研究領域提案型)
• 配分区分: 補助金
• 審査区分: 生物系
• 研究機関: 東京学芸大学
• 研究代表者: 岩元 明敏 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (60434388)
• 研究期間 (年度): 2013-04-01 – 2015-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2014年度)
• 配分額: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円); 2014年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円); 2013年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
• キーワード: 数理モデル解析 / 根端成長 / ストレス環境 / 成長解析 / 数理モデル / シロイヌナズナ / 核内倍加 / アルミニウム

研究実績の概要

本年度は、環境ストレスの１つであるアルミニウムが根端成長に及ぼす影響の数理モデル解析と解析手法そのものの改善に取り組み、主に以下の２つの研究成果が得られた。
まず、アルミニウムが根端成長に及ぼす影響を明らかにするため、中濃度の塩化アルミニウムを含む寒天培地上で育成したシロイヌナズナの根端を細胞動力学的手法（期間成長を細胞レベルで定量化する解析手法）で解析した。その結果、アルミニウムを含まない培地上の根端と比べて、体積増大速度には大きな影響はなかった。一方で、細胞体積は根端全域で最大20%程度減少しており、それにともない細胞増殖率については根端全体で若干の上昇が見られた。しかし、細胞増殖域の大きさには顕著な違いは見られなかった。さらに、こうして得られた根端成長のデータに対して独自の数理モデルによる解析を行い、ゲノム複製、体積増大、器官維持の各コスト値（大きいほど各成長側面の効率が低いことを示す）を算出した。その結果、アルミニウムを含む培地の根端ではゲノム複製コストが20%程度低下したものの、体積増大コストは約3倍、器官維持コストは約2倍と大きく増加していた。細胞動力学的解析の結果も合わせて考えると、アルミニウムを含む培地上で育成した根端では、体積増大コストが上昇しているにもかかわらず、アルミニウムを含まない培地上の根端とほぼ同じ体積増大速度を維持していることになる。これはアルミニウムにより体積増大の面でより負担の大きい根端成長となっており、その後の伸長阻害につながっていることが示唆される。
成果の２つめは、数理モデル解析のための根端伸長速度の測定ソフトウェアを新たに開発したことである。この新規に開発したソフトウェア”Neo Measure”では、従来のソフトウェアに比べて計算の精度及び時間が顕著に改善された。このソフトウェアはインターネット上で公開予定である。

現在までの達成度 (段落)

26年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

26年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] Transcriptional repression by MYB3R proteins regulates plant organ growth (2015)
  • 著者名/発表者名: K Kobayashi, T Suzuki, E Iwata, N Nakamichi, T Suzuki, P Chen, M Ohtani, T Ishida, H Hosoya, S Muller, T Leviczky, A Pettko-Szandtner, Z Darula, A Iwamoto, M Nomoto, Y Tada, T Higashiyama, T Demura, J H Doonan, M Hauser, K Sugimoto, M Umeda, Z Magyar, L Bogre, M Ito
  • 雑誌名: EMBO Journal 巻: 未定
  • 査読あり
• [雑誌論文] Understanding the structure of flowers―the wonderful tool of floral formulae (2014)
  • 著者名/発表者名: Louis Ronse De Craene, Akitoshi Iwamoto, Kester Bull-Herenu, Patricia Dos Santos, Javier A. Luna, and Jennifer Farrar
  • 雑誌名: Taxon 巻: 63 号: 5 ページ: 67-71
  • DOI: 10.12705/635.35
  • 査読あり
• [雑誌論文] Variation in shoot organization of <i>Cynodon dactylon</i>: is it the grass with an opposite phyllotaxy? (2013)
  • 著者名/発表者名: Akitoshi Iwamoto, Tomohiko Inoue
  • 雑誌名: ＰＬＡＮＴ ＭＯＲＰＨＯＬＯＧＹ 巻: 25 号: 1 ページ: 101-103
  • DOI: 10.5685/plmorphol.25.101
  • NAID: 130004691664
  • ISSN: 0918-9726, 1884-4154
  • 査読あり
• [雑誌論文] 顕微鏡画像を用いた根端成長の数理モデル解析 (2013)
  • 著者名/発表者名: 岩元明敏, 杉山宗隆
  • 雑誌名: ＰＬＡＮＴ ＭＯＲＰＨＯＬＯＧＹ 巻: 25 号: 1 ページ: 67-71
  • DOI: 10.5685/plmorphol.25.67
  • NAID: 130004691677
  • ISSN: 0918-9726, 1884-4154
• [学会発表] Kinematic analysis and mathematical modeling of the effects of aluminum on root Growth in Arabidopsis thaliana (2015)
  • 著者名/発表者名: Akitoshi Iwamoto, Chiaki Umemura, Iwai Ohbayashi, Jian Feng Ma
  • 学会等名: 第56回日本植物生理学会年会
  • 発表場所: 東京農業大学（東京）
  • 年月日: 2015-03-16 – 2015-03-18
• [学会発表] Floral development of Ceratophyllum - importance of mechanical force to produce phyllotactic variation in flowers (2014)
  • 著者名/発表者名: Akitoshi Iwamoto, Ryoko Izumidate, Ronse De Craene
  • 学会等名: XXV Reunion Annual, Sociedad de Botanica de Chile
  • 発表場所: Hotel Patagonia, Puerto Varas, Chile
  • 年月日: 2014-11-25 – 2014-11-27
  • 招待講演
• [学会発表] アルミニウムが根端成長に与える影響の細胞動力学的解析 (2014)
  • 著者名/発表者名: 岩元明敏、梅村智晶、大林祝、馬建鋒
  • 学会等名: 日本植物学会第78回大会
  • 発表場所: 明治大学（神奈川）
  • 年月日: 2014-09-12 – 2014-09-14
• [学会発表] アルミニウムがシロイヌナズナ根端成長に及ぼす影響の数理モデル解析 (2014)
  • 著者名/発表者名: 岩元明敏
  • 学会等名: 第41回日本土壌肥料学会年会
  • 発表場所: 東京農工大学（東京）
  • 年月日: 2014-09-09 – 2014-09-11
  • 招待講演
• [学会発表] rRNA／リボソーム生合成がシロイヌナズナの根端成長に及ぼす影響の細胞動力学的解析 (2014)
  • 著者名/発表者名: 大林 祝、杉山 宗隆、岩元 明敏
  • 学会等名: 第55回日本植物生理学会年会
  • 発表場所: 富山大学・五福キャンパス 〒930-8555 富山市五福3190番地
• [学会発表] ホウ酸トランスポーターAtBOR3 は低ホウ素条件下における根の伸長抑制に必要である (2014)
  • 著者名/発表者名: 高田茂樹，北翔一，岩元明敏，三輪京子，内藤哲，高野順平
  • 学会等名: 第55回日本植物生理学会年会
  • 発表場所: 富山大学・五福キャンパス 〒930-8555 富山市五福3190番地
• [図書] 冬芽と環境-植物たちの越冬「広義サクラ属の冬芽の多様性と進化 ―冬芽は系統を反映するか？―」 (2014)
  • 著者名/発表者名: 岩元明敏（八田洋章編）
  • 総ページ数: 340
  • 出版者: 北隆館
• [備考] 岩元明敏のページ
  • URL: http://www.u-gakugei.ac.jp/~akitoshi/
• [備考] 東京学芸大学・岩元明敏
  • URL: http://www.u-gakugei.ac.jp/~akitoshi/