公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
低温シグナルにおいてMYC型転写因子ICE1は既知の最上位に位置する転写因子である。本研究ではICE1の調節機構を明らかにするため、低温刺激によって放出されるカルシウムをどのように認識してICE1を活性化するか、ICE1の活性化にはどのような因子が関わっているかを明らかにする目的で研究を行った。これまでの研究からICE1はカルモジュリン様タンパク質(CML)と相互作用することが明らかになっているので、この因子の解析を行った。カルシウムの認識に関して、シロイヌナズナに50種類あるCMLの中で、CML10及びCML12が低温依存的に相互作用が強まることが明らかとなった。また、ICE1内にカルモジュリン認識配列を調べたところ、1か所存在し、変異を導入したICE1(4RE)を用いたところ、CML10とは相互作用が見られたが、CML12では相互作用が見られなかった。このことから、ICE1はカルモジュリン認識配列付近でCMLと相互作用していることが示唆された。cml12変異体では低温感受性が見られなかったが、CML10, 12をノックダウンするRNAi体では低温感受性が見られたことから、CML10, 12ともに必要であることが明らかとなった。CML10とCML12は隣同士であるため、掛け合わせによる二重変異体の作出は無理である。そこで、CML10を認識するguideRNAをもち、CRISPR/Cas9を植物体内で発現させるためのバイナリ―ベクターを構築した。この遺伝子をcml12に導入して、二重変異体の作出を行っている。カルシウムの流入に関わると考えていたMCAに関して、再度発現解析を行ったが、mca1 mca2二重変異体ではDREB1や低温誘導性遺伝子の発現に変化が見られなかった。ただし、低温感受性を示したことから、MCAがDREB1経路の制御に関わっていないことが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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