公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
環境要素の中でも大気温度は、天候に応じて浮動し、一定値を示さない。植物はこれを積極的に情報化し、季節変動を判定するための要素の一つとしているとされる。また、シロイヌナズナなどの植物は環境温度に応じて形態を変化させることでも知られ、12℃から28℃の比較的マイルドな温度域で温度に応じて徒長性を示す。本研究では、シロイヌナズナのこの性質を利用し、植物が大気温度を感じて形態変化に結び付けるシグナル伝達機構の有無と、その分子実体の解明を目的とした。独自の研究および、他の競合グループの先行研究から、転写因子であるPIF4が高温時の徒長性を示す際の「鍵因子」として機能することが明らかにされている。本研究では、恒常的に発現させた外因性のPIF4のタンパク質安定性が、低温環境下で不安定化することを見出した独自知見に端を発している。この発現系統にEMS処理を行い、矮性を示すべき低温環境下に置いて、「徒長してしまう変異系統」を単離した。この原因としては、低温感知からPIF4分解にいたるどこかの過程で変異導入による機能不全が起こり、低温環境に応答できなくなっていることが想定される。後代変異体の単離と表現型の再現性の確認・解析に加えて、次世代型シークエンサーによるゲノム配列のリシークエンスを行い、原因遺伝子候補の探索を行った。この結果、複数の独立の変異系統で同一遺伝子に変異が認められる遺伝子を見出すことに成功した。今後は、この候補遺伝子が原因であるかどうかを定法の遺伝学的解析により明らかにすることで、低温感知シグナルの一部を明らかにできると考えている。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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