配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2014年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2013年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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研究実績の概要 |
RalはRasファミリーに属する低分子量GTP結合タンパク質であり、細胞内膜輸送、アクチン細胞骨格、細胞の増殖、生存の制御など様々な機能を有している。他のGタンパク質と同様に、RalはGTPが結合した活性型とGDPが結合した不活性型の2つのコンフォメーションをとる。その活性化、不活性化はそれぞれグアニンヌクレオチド交換因子(guanine nucleotide exchange factor: GEF)、GTPase活性化タンパク質(GTPase-activating protein: GAP)により触媒される。Ralを不活性化する酵素、RalGAPは長らく未知であったが、研究代表者らはその分子同定に初めて成功した。RalGAPは約2,000アミノ酸からなる触媒サブユニットα1あるいはα2と、約1,500アミノ酸からなる調節サブユニットβより構成されるヘテロ複合体である。ノックアウトマウスの解析よりRalGAPは癌の浸潤・転移に重要なはたらきをもつことを明らかにした。 本研究ではRalGAP複合体の構造、およびその活性調節メカニズムを原子分解能レベルで明らかにすることを目的とした。Ralの機能異常は癌化や代謝疾患に密接に関わっていると予想されるため、その活性制御メカニズムの理解は医学的にも極めて重要であると考えられる。平成26年度は、昆虫細胞発現系を用いたRalGAP複合体(α-β複合体)の発現、精製、および活性測定を行った。また、欠失変異体を用いた解析によりRalGAPαサブユニットとβサブユニットの結合領域を決定した。 また、平成26年度は、Ralと癌に関する総説(Shirakawa et al., J Biochem, 2015)、および肺高血圧症におけるRalの活性化について報告した(Yaoita et al., ATVB, 2014)。
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