公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究の目的は、我々が発見したオリゴデンドロサイト細胞系譜の生理機能(脱髄軸索の再髄鞘化)が脳微小血管細胞に大きく依存するという現象の分子実体を明らかにすることである。平成25年度の研究で、血管細胞のターゲット細胞がオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPCs)であることを明らかにしたので、平成26年度はOPCsを用いて、脱髄軸索・再髄鞘化促進因子の同定を試みた。成体ラット大脳から調製した脳微小血管内皮細胞(MVECs)の培養上清を幼弱ラット大脳から調製したOPCs培養系に作用させたところ、OPCsの生存(pyknosisの抑制効果で判定)、増殖(BrdU取り込み能で判定)、運動能(播種後の細胞の移動距離で判定)のいずれも有意に促進することが明らかになった。このことから、①血管細胞の中でも内皮細胞が脱髄軸索・再髄鞘化促進因子を産生すること、②脱髄軸索・再髄鞘化促進因子は分泌性因子であること、が示唆された。分泌性因子としては液性因子の他に近年注目を集めているエクソソームが考えられる。本研究ではエクソソームが脱髄軸索・再髄鞘化促進因子である可能性を検証した。MVECsの培養上清からエクソソーム調製試薬を用いてエクソソームを調製し、蛍光ラベルして培養OPCsに投与したところ、蛍光ラベルがOPCsに顆粒状に取り込まれているのが観察され、MVECs由来エクソソームがOPCsによって取り込まれることが明らかになった。次にエクソソームを培養OPCsに投与し、その生存・増殖・運動能を調べたところ、対照として用いたRat-1由来エクソソーム(タンパク質量を揃えて投与)に比べて、これらを有意に促進することが明らかになった。以上より、MVECs由来エクソソームが脱髄軸索・再髄鞘化促進現象の分子的基盤である可能性が示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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