公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
生物がゲノムを安定的に維持する上で、DNAの二本の鎖が同時に切断を受ける二重鎖切断(DSB)は大きな脅威である。そのため、核内では様々な機構によってDSBの安全な修復が図られている。しかし、切断修復が困難な場合、細胞の戦略の一つとして、大規模染色体再構成(gross chromosome recombination; GCR)がある。GCRは、ゲノム変動の一因となり、進化の原動力ともなる。しかしその一方で、GCRの頻度が上昇することでゲノムは不安定となり、染色体異常を引き起こす。ヒトの場合には、がんや遺伝病などを引き起こすこととなる。したがって、GCRは通常は抑制されているが、その抑制機構については不明な点が多い。我々は、出芽酵母を持てる系として、クロマチン核内配置とGCR抑制との関連、およびその分子機構を明らかにすることを目的として研究をすすめた。HOエンドヌクレアーゼを誘導的に発現することでゲノム上に一カ所のDSBを導入できる出芽酵母を用いて、DSBの核内局在の変化と、その分子機構について解析を行った。その結果、DSBが核膜タンパク質である核膜孔複合体(NPS)、あるいはMps3に結合することにより、核膜近傍に移行することが観察された。SWR1クロマチンリモデリング複合体機能を欠損した酵母株では、NPCおよびMps3とDSBとの結合が失われた。一方で、INO80クロマチンリモデリング複合体の機能を欠損した酵母株では、DSBとMps3の結合のみが失わせた。これらの結果は、これらのクロマチンリモデリング複合体が、異なったメカニズムでDSBの核内空間配置に寄与することを示している。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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