公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
Bcl11bは脂肪細胞の分化初期において一過的に発現上昇し、分化を促進する機能を有する。また、全身性のBcl11b欠損マウスはやせ型を示すことから、Bcl11bの欠損が生体レベルでも脂肪細胞分化・脂肪蓄積に影響を与えている可能性が考えられた。Bcl11bは複数のZn-フィンガードメインを持ち、抑制性の転写制御因子としての機能が報告されているが、脂肪細胞分化促進の分子機構については明らかにされていない。本研究では、脂肪組織特異的Bcl11bノックアウト(KO)マウスを用いて本遺伝子の脂肪細胞分化・脂肪蓄積における機能を明らかにし、脂肪蓄積と食欲の新たな関係を探ることを目的とした。Bcl11bが抑制性の転写制御因子である点に着目し、脂肪細胞分化過程においてBcl11bにより発現が制御される遺伝子の探索を行った。DNAマイクロアレイを行ったところ、KOマウス由来MEFsでは野生型マウス由来MEFsと比較して、Wnt/β-カテニンシグナルの下流遺伝子の発現上昇が観察された。リアルタイムPCRにより骨細胞マーカの遺伝子発現を検討したところ、KO MEFsにおいて発現上昇が観察された。KOマウス由来MEFsでは脂肪細胞への分化が抑制され、骨芽細胞分化が促進されており、Bcl11bによる中胚葉系幹細胞分化の制御の可能性が示された。Adiponectin-Creマウスを用いて、脂肪組織特異的Bcl11bKOマウスを作製した。脂肪組織特異的KOマウスはメンデルの法則に従って生まれ、生育にも顕著な差は観察されなかった。高脂肪食を10週間負荷を行ったが、全身性のKOマウスで観察されたやせ型の表現型は見られなかった。Adiponectinプロモーターは、脂肪細胞分化後期に活性化することから、分化初期に一過的に発現上昇するBcl11bの機能に対しては、影響を与えなかったと考えられる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件)
PLoS ONE
巻: - 号: 4 ページ: e0121784-e0121784
10.1371/journal.pone.0121784
J. Nutr. Sci. Vitaminol. (Tokyo).
巻: 印刷中
130005074124