公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
肥満症やメタボリック症候群の最上流には脂肪細胞の機能異常が想定されている。ヒト脂肪細胞の細胞株はなく、ヒトiPS細胞からの分化系が確立できれば有用であり、脂肪細胞のマスター遺伝子であるPPARγの発現を蛍光でモニターできるiPS細胞を樹立することとした。PPARγのBACクローンをライブラリーから入手し、ゲノムと相同配列を両端に持つ蛍光マーカー遺伝子断片を作成しBACターゲティングベクターを作成した。得られたBACターゲティングベクターをヒトiPS細胞へエレクトロポレーションにより導入しG418による薬剤選択によりBACターゲティングベクターの染色体挿入が生じたクローンを単離した。ゲノムDNAを採取し、定量的PCRによりゲノムに挿入されたベクターのコピー数を産出し正確にノックインされたiPS細胞クローンを複数樹立した。得られたノックインiPS細胞を通常の胚様体形成法により分化させ、未分化能のみならず多分化能を保持していることを確認した。既報のヒトiPS細胞からの白色脂肪分化系ではPPARγ発現が殆ど検出されず、PPARγ陽性細胞を選択的に分取することは不可能であった。一方で先天性全身性脂肪萎縮症患者からBSCL2(Seipin)の遺伝子変異を有する疾患特異的iPS細胞の樹立に成功した。脂肪滴の形成障害を認め、野生型のBSCL2遺伝子を発現させることにより脂質蓄積能は回復した。脂肪滴関連蛋白について検討したところ、Perilipinの細胞内局在が小胞体周辺に留まることができない異常があることを発見した。脂肪滴形成や脂肪細胞分化に必須なメカニズムを明らかにすることができた。最近、ヒト褐色脂肪細胞分化系の報告がされ、PPARγ,PRDM16等の発現も確認できた。褐色脂肪細胞のPPARγ陽性細胞の選択的分取を試みた後に白色脂肪細胞分化系の確立を行う予定である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
Metablism
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