公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
我々は、胚盤胞にES細胞を注入した後に偽妊娠の雌に移植することによりマウスとラットのキメラ動物が生まれることを示した。これまでの観察ではキメラ動物は外見上マウスとラットの中間ではなく胚盤胞を提供した種に類似し、あたかもES細胞が別の種の細胞や組織として振る舞うことを認めた。マウスとラットは大きさが異なるにも関わらず、キメラを作製すると極めて調和のとれた個体を形成する。また興味あることに個体の大きさはマウス又はラットのどちらかに偏ったものができる。そこでこのマウス・ラットキメラの系を用いて個体の大きさすなわち細胞の増殖すべき限界というものがどこでどのように決められ、また制御されているのかについて検討した。平成26年度は個体発生の経過を追って体の大きさを検討した。個体の大きさを決めるの因子が胚胎の中の一部の細胞が担っているのか、あるいは胎盤あるいは母体側が担っているのかについて検討した。2細胞期のマウス胚を電気刺激により融合させてテトラプロイドとした。このような細胞は胚体の細胞には分化できず胎盤にしか寄与できないことが知られている。一方でES細胞は胎盤には分化しないことが知られている。ラットのES細胞をマウスのテトラプロイド胚に打ち込むことにより胚体部分は完全にラット由来の胚を作製し、これをマウスに移植し、発生の推移を観察した。マウスとラットは発生の様子が異なり、マウスのほうが成長が早いためマウスのほうが発生初期のある時期では大きくなる。マウスの胎盤とマウスの母体により生育を続けるラット胚の大きさを観察したところマウスに近似することが判明した。発生は途中で停止したため最終的にマウス母体からから完全なラットを産ませることはできなかったが少なくとも成長過程にある胎児の大きさを決める役割を担っているのは、胚体の細胞ではなく、胎盤あるいは母体側の因子であることが判明した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
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