公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
運動性シアノバクテリアは、集団化することで、回転運動する円盤状コロニー、並進運動する束状、彗星状コロニーと多様な形態をとり、その形態間を自発遷移することがこれまでの観察からわかっている。本研究では、その形成メカニズムについて、理論・実験の両側面から明らかにすることを目的としている。H25年度は、この系に働く二つの相互作用のうち、細胞と場の相互作用に関与する粘液について詳細に調べ、コロニー周辺の分布状態について明らかにした。H26年度は、細胞間相互作用の様態解析に取り組んだ。H25年度に懸案であった、タイムラプス撮影の手法を改善し、細胞の速度の時空間分析から、細胞がある一定の距離に近づくと引き合う速度が最大化し、その後その速度は0に近づくことが定量的に確かめられた。また、細胞間の入射角についても検討し、真横から近づくとき最も最大速度が大きいことがわかった。以上の結果を踏まえ、バクテリア1個体を粒子とみたてた自己駆動粒子集団モデルを構築した。個体間には上述の事実に基づく距離と入射角に応じた引力関数を設定した。個体は場に粘液を分泌し、粘液上を個体が運動するときには速度が増加する(または抗力が減少する)と仮定した。この単純なモデルから、集団化によって円盤状コロニーのような回転集団や、束状あるいは彗星状コロニーのような並進運動集団が自発生成することが確かめられた。さらに、場の粘液はその空間分布に応じて、回転運動する集団を並進運動へ遷移させる効果と、場にトラップする効果があることがわかった。前者はコロニー形態間の遷移現象の一つを、後者は円盤状コロニーの安定的な回転運動を説明できる可能性がある。実際の遷移現象は、今回のシミュレーション結果よりも、もっと動的である。今後本モデルに細胞増殖などの効果を取り入れることで、実現可能だと期待される。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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第20回交通流シミュレーションシンポジウム論文集
巻: 20 ページ: 23-26
Advances in Science, Technology and Environmentology
巻: B11 ページ: 179-180