公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
動物には,極めて高度な社会性を獲得したグループが存在する。その代表例である社会性昆虫がもつゲノム(=ソシオゲノム)には,複数の表現型(カースト)の設計図が織り込まれており,個体としての表現型が協調して「コロニーという総体」を作り上げる設計図をも織り込まれている点が特筆に値する。特にシロアリでは,各カーストの役割や形態が特殊化しているため,コロニーから各カーストを切り離して維持することは不可能である。したがって進化の過程では,各カーストを特徴づける形質と,協調や分業をもたらす複数の因子がほぼ同時に獲得されたと考えられる。本研究は,カースト分化を規定する未知の因子群を明らかにすることを目指し,兵隊・ワーカー・生殖カーストへの分化前の個体の特定に成功したヤマトシロアリに注目する。本年度はまず,新学術「ゲノム支援」のサポートを受けて,昨年度にシーケンスとde novo genome assemblyが完了したゲノム配列データを用いて遺伝子予測を行った。各種ホルモンやセルラーゼ関連遺伝子などのいくつかのカテゴリーに分け,他機関の専門家にも依頼してチームを編成し,アノテーションを進めている。続いて,昨年度に作製したライブラリー(各カーストの分化誘導過程の個体)のシーケンスを行い,ゲノム配列をフレームとして発現解析を遂行した。特に,これまで全くのブラックボックスであった分化過程の初期の遺伝子発現に注目した。その結果,各カーストの形態を特徴付ける形態形成因子やその上流にある発生運命決定に関与すると考えられる遺伝子が特定された。異なる遺伝子や同一遺伝子の別コピーが,それぞれ特異的な部位で発現することも明らかになった。以上の結果の一部は,原著論文にまとめると同時に,第10回国際JH会議,第17回国際社会性昆虫学会,第85回日本動物学会,第59回日本応用動物昆虫学会,ゲノム支援国際シンポジウム2015にて発表した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (24件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (2件)
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