公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究は、ヒト乳がん幹細胞の機能制御に関わる細胞表面タンパク質を中心とした分子機構を解明することを目的としている。本年度は下記の実験を通じて、ヒト乳がん幹細胞で特異的に発現するマイクロRNAであるmiR-142が、WNTシグナル伝達系の活性化とmiR-150の発現を介してがん幹細胞の幹細胞性制御に関わること、および細胞表面タンパク質であるケモカインレセプターCXCR4がヒト乳がん幹細胞による原発巣および転移巣の形成能に重要な働きをもつことを解明した。さらに転移ヒト乳がん幹細胞に特異的な一連のマイクロRNAを解明して、その標的細胞表面タンパク質候補の解析をすすめた。1. CXCR4の機能解析:ヒト乳がん異種移植マウスの原発巣および肺転移巣より単離したがん細胞の細胞表面タンパク質の発現を単細胞レベルで解析した。CD44発現ヒト乳がん細胞ではCXCR4の発現を強く認め、CXCR4の阻害によりヒト乳がん異種移植マウスの原発巣の増殖および転移巣の形成が抑えられた。2. ヒト乳がん幹細胞特異的マイクロRNAであるmiR-142とmiR-150の機能解析:細胞表面タンパク質FZDを介して乳がん幹細胞の機能を制御するWNTシグナル伝達系の構成タンパク質APCがmiR-142の標的であること、miR-142を介したWNTシグナル伝達系の活性化がmiR-150の転写を誘導すること、miR-142とmiR-150が共に正常乳腺組織の過形成を誘導すること、およびmiR-142の発現抑制がヒト乳がん幹細胞の腫瘍形成能を抑制することを解明した。3. 転移ヒト乳がん幹細胞特異的マイクロRNAの解析:ヒト乳がん異種移植マウスの原発巣および転移巣のがん幹細胞のマイクロRNA発現を網羅的に解析して、転移がん幹細胞を特徴づける一連のマイクロRNAを同定するとともに、標的細胞表面タンパク質候補の解析をすすめた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 5件)
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