公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本課題は、マウスアンドロジェン受容体(AR)発現の性差形成に焦点を絞り、アンドロジェンとncRNAによる細胞と細胞間連絡の可塑性の人為改変に向けて、ノンコーディングRNA(ncRNA)発現/DNAメチル化情報を指標とした腹内側核細胞群の細胞動態解析を行なっていくものである。本年度は、次世代シーケンサー解析によるアンドロジェン-ARの細胞内シグナリングを起点とするRNA発現/DNAメチル化変化の同定、に大きな進展があった。当該課題が文科省新学術領域研究「ゲノム支援」の支援課題にも選ばれたため、昨年度までに樹立したアンドロジェン-ARシグナリング駆動細胞株について、ARを特異的に活性化するジヒドロテストステロンで処理したサンプルを作製し、directional RNA-seq解析と、Post-Bisulfite Adapter-Tagging法によるDNAメチローム解析を行うことにより、一塩基レベルでのエピゲノムダイナミクスを評価した。その結果、脳性分化決定前の細胞から樹立した神経幹細胞株は、アンドロジェン-ARシステムによりニューロンへの分化が抑制された一方でアストロサイトへの分化が促進することが分かってきた。興味深いことに、性腺刺激ホルモン放出ホルモンであるGnRHの発現あるいは分泌を制御すると考えられる遺伝子が発現上昇することも明らかとなった。この変化はDNAメチル化変化を伴っており、アンドロジェン-ARシステムはエピゲノムレベルで遺伝子発現を固定することで腹内側核を雄性化し、性に従った内分泌のための神経回路確立に寄与している可能性が考えられた。取得したncRNAによるエピゲノム変換能解析についても進めており、受精卵を用いたアッセイによりncRNAが確かにDNA脱メチル化に機能していることを見つけ、一部Development誌に報告し、プレスリリースを行った。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (12件) 図書 (2件) 備考 (4件)
Development
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10.1242/dev.116996
Mol Endocrinol
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http://www.kyushu-u.ac.jp/pressrelease/2015/2015_02_05.pdf
http://www.med.kyushu-u.ac.jp/app/modules/information/detail.php?i=753&c=10
http://www.grad.med.kyushu-u.ac.jp/researchinfo/detail.php?i=753
http://www.scb.med.kyushu-u.ac.jp/imamura