公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
前年度までの研究結果より、ラット肺静脈心筋細胞のノルアドレナリン誘発自動能の発生機序について、私達は以下のような仮説を提唱している。すなわち、自動能発生にはα受容体、β受容体の両者が関与しており、α受容体刺激はIP3受容体からのCa放出を引き起こす。放出されたCaは近接するNa/Ca交換体により細胞外へ排出され、その際に膜を脱分極させ活動電位を惹起する。β受容体刺激はcAMP系を介してL型Caチャネルの活性化、リアノジン受容体の活性促進、筋小胞体のCaポンプ活性化を引き起こす。そのため、活動電位発生に伴う細胞内へのCa流入量が増加し、筋小胞体へのCa2+ 取り込みが増大する。これらの結果、Ca過剰負荷がもたらされ、再びIP3受容体を介してCa2+ が放出されて、次の活動電位発生のサイクルへと移行することになる。本年度は、肺静脈心筋細胞の自動能をコンピュータ上で再現することを目的とし、立命館大学の天野教授らと具体的なモデル作成に着手した。既に報告されているいくつかの心筋細胞モデルを検証し、その中からラット心房筋の活動電位に最も近いLugoモデルをベースとして肺静脈心筋モデルを作成した。Lugoモデルに若干の修正を加える事で、静止電位が浅く、α及びβ受容体刺激で活動電位を発生するモデル細胞をつくることができたものの、実験で観察される細胞内Ca振動による自動能の再現には至らなかった。一方、心室筋モデルとして発表されたAsakuraモデルはCa誘発性Ca放出を再現できるなど細胞内Ca動態について改良が加えられており、本モデルにIP3受容体を組み込むことで、α刺激及びベータ刺激による細胞内Ca振動を部分的に再現することができた。今後、横行小管とIP3受容体、Na/Ca交換体の分布などを組み込むことにより肺静脈心筋の自動能をモデル上で再現したいと考えている。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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