公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
これまでの研究から、心筋の細胞間における構造の不均一性が機能の不均一性と連動して、興奮の伝導性を変え不整脈発生に重要な役割をしているという可能性が示唆された。本申請研究では、主に遺伝性拡張型心筋症(DCM)モデルマウスの心筋を病態モデルとして解析した。遺伝性DCMは、心筋収縮力の低下を引き起こすような蛋白の変異から起こる病気で、心拡張・収縮不全を特徴とするが、病状は進行性であり、不整脈突然死を引き起こしやすいのも特徴である。まず、単離細胞を用い細胞個々のサイズとK電流の関係を計測したところ、野生型ではK電流密度は細胞の大きさと明らかな相関は無かったが、DCM心筋では、細胞サイズの下限は野生型とほぼ等しいものの、上限は野生型よりはるかに大きな巨大な心筋細胞が存在し、それらでは複数のカリウム電流密度が著しく低下していた。すなわちこの極端なK電流低下が易不整脈性に結びつくとが考えられた。また興味深いことにアンジオテンシン受容体拮抗薬は、この巨大化した細胞の出現を大きく抑制することが分かった(Odagiri et al. 2014)。我々は次にDCM心筋組織内の巨大細胞の分布と電気的な性質の関係にも注目した。巨大細胞は心臓の外膜側より心内膜側に多く存在しており、これに対応して内膜側での活動電位持続時間の延長が顕著であった。これらに加え、心内膜側ではギャップジャンクションチャネルが細胞内に内在化する事も示され、これは心電図のQRS時間の延長と対応していた。このように心拡張に伴う構造変化は、K電流やギャップジャンクションの内在化による伝導障害という電気的性質の変化に直結している事が示された。現在、構造変化の定量的解析を行い、論文作成中である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (9件)
PLoS One
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