公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究の目的は、正確な目撃記憶をできる限り早い段階で獲得するために英国で開発されたSelf-Administered Interviewの日本語版(目撃者遂行型調査)を作成し、その効果を検討するものである。目撃者遂行型調査は、調査紙内の質問に目撃者自身が記述により回答を行う質問紙形式になっている。27年度は2つの実験を行った。実験1では、目撃者遂行型調査に含まれる質問の方法、および目撃者遂行型調査の特徴である「記述」が記憶の保持に及ぼす効果を検討した。実験参加者は、犯罪ビデオの視聴直後、ビデオの内容について目撃者遂行型調査に記述(記述群)、目撃者遂行型調査に含まれる質問を使った面接による口頭での供述(供述群)、自由再生による口頭での供述(自由再生群)のいずれかを行った。1週間後、すべての参加者が自由再生で供述を行った。結果は、記述群と供述群の参加者は、自由再生群の参加者よりも多くの記憶を想起した。また、記憶の保持については、記述群の参加者は、供述群の参加者よりも多くの記憶を保持していた。本実験により、記憶の想起・保持における目撃者遂行型調査の教示および記述の効果が示された。目撃者遂行型調査には目撃現場をスケッチで描写するセクションが含まれている。26年度の研究で、スケッチによる記憶の想起の効果が示されたこと受け、実験2では、認知スタイルの個人差を測定する言語型-視覚型質問紙を用いて、目撃者遂行型調査の効果の個人差を検討した。実験参加者は言語型-視覚型質問紙に回答した後、犯罪ビデオを視聴した。そしてビデオの内容について目撃者遂行型調査に記述した。結果は、スケッチによる報告は、言語型より視覚型が多かった一方、スケッチ以外の報告では両者に差はみられなかった。本研究より、目撃者遂行型調査による記憶の想起は、認知スタイルが視覚型の場合により効果的である可能性が示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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