公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
多くのタンパク質は何本かのポリペプチド鎖が会合して形成されている。会合体中で各ポリペプチド鎖はそのアミノ酸の1次構造に応じた立体構造(3次構造)を持っており、サブユニットとして見なされる。タンパク質会合体はサブユニットが特定の位置に配置された固有構造(4次構造)を持ち、その構造が静的・動的に変調することで機能を発現することが多い。一方、杉山らはある種のタンパク質会合体間ではサブユニットが交換という「より高次の動的な性質を持つ可能性」がある事を指摘している。本研究ではタンパク質重水素化と中性子小角散乱法を組み合わせる事でタンパク質会合体間における動的な構造を解明する新たな手法を確立する共にその手法を適用し現実の系での動的構造の解明を目的とする。本年度は水晶体内タンパク質αクリスタリンに注目し、このタンパク質複合体が水溶液中で形成している動的な秩序構造の解明を行った。αクリスタリンはαAとαBと呼ばれるサブユニットのヘテロ会合体であり、熱ショックシャペロンとして機能している。また、αAまたはαBのみだけもホモ会合体を形成し、これらもシャペロンとして機能することが知られている。先述の通りタンパク質会合体は固有の会合体を持つため、当然そのサブユニット会合数は一定値に固定される。一方、興味深い事にαクリスタリン会合体の会合数は、(ヘテロ・ホモ共に)20-30の間で様々な値が報告されており未だに確定値が存在しない。杉山らはこれはαクリスタリン会合体間にはサブユニット交換機構が存在し、そのために会合体数が一定値を取らない事が原因であると考えた。そこで、これまでの重水素化+中性子小角散乱法に加え無変性質量分析法も用いて、サブユニットが交換している事とその交換速度が温度に強く依存していることを始めた明らかにした。特に交換速度はシャペロン活性が上がる45度以上非常に高速化することも示した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 6件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
Biochemistry and Biophysics Reports
巻: 4 ページ: 28-32
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