配分額 *注記 |
5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2015年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2014年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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研究実績の概要 |
RNA interference (RNA干渉)とは、小さな2本鎖RNA (small interfering RNA, siRNA) が、相同な塩基配列をもつmRNAと対合して切断することで、遺伝子発現を抑制するという現象であり、簡便な遺伝子ノックダウン法として広く利用されている。しかしながら、その臨床応用などへの実用化という観点からは、特異性や安定性などにおいて、まだ解決すべき重要な問題を抱えている。本研究では、siRNAの核酸対合の化学的性質(ケム)がサイレンシングの程度を規定するという我々の生物学的な研究成果(バイオ)に基づき、RNAに適切な化学修飾(ケム)を導入することでRNA干渉における問題点を克服し、目的とする1遺伝子特異的ノックダウン法を開発することを目指した。我々は、先行研究において、siRNAの限られた領域とmRNAとの塩基対合力(熱力学的安定性)を調節することで、標的とする1遺伝子に対して特異的にRNA干渉作用を示すsiRNAを選択できる手法を確立している。しかしながら、塩基配列にもで対合力を調節することには限界があり、塩基配列よりも大きな効果が期待できる化学修飾によって塩基対合力を変動させることを検討した。化学修飾としては、DNA, 2′-O-methyl(2′-OMe), phosphorothioate(PS),DNA-PS, locked nucleic acid(LNA), Unlocked nucleic acid (UNA)を用いた。2種類のレポーターアッセイとマイクロアレイ解析を行い、これらの化学修飾はすべてguide strandのオフターゲット効果を減弱する作用があることが明らかになった。しかし、passenger strandのオフターゲット効果は、LNAおよびDNA修飾では、未修飾siRNAと同程度であったが、2’-OMeおよびPS修飾では増強されていると考えられ、LNAおよびDNAは非常に有効な化学修飾であると考えられた。この後は実用化にむけて、生体内での特異性などについて検討する必要がある。
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