公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
生体内の分子は相互作用をすることでネットワークを形成し、それが生命システムをつくる。ネットワークの中心に存在するハブタンパク質は、多くの分子と相互作用し、多様な機能を発揮する。天然物リガンドには何故か、こういったハブタンパク質を標的とするものが多いようである。ハブタンパク質を阻害すれば周辺ネットワークに大きな摂動が生じるが、一対一対応を想定した既存の鍵と鍵穴モデルの適用ではハブタンパク質のマルチな機能を区別して解析することは不可能である。同じハブタンパク質を標的にしていても構造多様性を有し、少しずつ異なる表現型を示す天然物リガンドを使い分けることでハブタンパク質の機能解析を効果的に推進することを目標に、本研究ではアミノ酸代謝を変調するリガンドの探索とその作用機序解析を推進した。すなわち分裂酵母を単一のアミノ酸を窒素源として培養し、特定のアミノ酸に選択的に生育阻害や形態変化を誘導する微生物培養液抽出物をスクリーニングにより取得後、活性本体を精製・構造解析を行った。その結果、特定のアクチン重合阻害剤やFKBPの阻害化合物がセリンの資化を選択的に阻害すること、二価イオンに親和性を示すイオノフォアが化合物によってプロリンやグルタミン酸の資化を優先的に阻害することを見出し、プロリンの資化を抑える化合物として真菌から新規リポペプチドを同定した。アクチン重合阻害剤は多数知られているが特定の化合物のみがアミノ酸選択性を発揮すること、イオノフォアについてもin vitroでのイオン選択性だけでは説明できないアミノ酸選択性を示すことを見出しており、細胞レベルでの詳細な機能解明により、アミノ酸代謝の制御メカニズムの一端が明らかになると期待できる。プロリンの資化を優先的に阻害する新規リポペプチドは、活性型と不活性型が取得できており、プロリン代謝を解析する優れたツール化合物になると期待できる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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