公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
平成27年度は、まず平成26年度に合成した光親和性標識(ベンゾフェノン)を導入した化学プローブが、ネガマイシン(1)と同等のリードスルー活性を示すことがわかった。今後、光親和性標識実験を実施したい。加えて、リードスルー機構解明に向けた当初計画では、RNA footprint法を用いる予定であったが、検討の結果、遺伝学的解析がより適していると考えた。即ち、今年度は筑波大学臼井健郎准教授らにより構築された多剤超感受性酵母株12geneΔHSRを用いた作用機構解明研究を試みた。先ず、遺伝学的解析に必要なナンセンス変異含有酵母株の獲得に向け、アデニン合成遺伝子ADE2中にPTC変異(TGA、TAG、TAA)を有する酵母株の構築を行った。野生株としてADE2(E64X)変異を有する酵母株YPH499をテンプレートとし、PCRにより作製したN末端欠損ADE2遺伝子断片を含む環状ベクターを酢酸リチウム法にて12geneΔHSRに導入した。続く、5-フルオロオロチン酸含有培地によるカウンターセレクションにより、ADE2遺伝子内にナンセンス変異を有する酵母株の取得に成功した。本酵母の獲得によりリードスルー活性発現を定性的に確認することが可能となった。即ち、リードスルー活性が無い場合、本変異酵母株は赤色を呈す一方で、リードスルー活性が有る場合、野生株と同様に変異酵母株は白色を呈する。実際に本変異酵母株を用いて誘導体を評価した結果、申請者らが見出した高活性ネガマイシン関連天然物および誘導体TCP-112を添加した酵母群はリードスルーにより白色を呈した。このことから、ネガマイシン耐性株の取得において重要なナンセンス変異含有酵母株の構築に成功した。今後、本酵母株を用いて、優勢耐性変異株の取得をおこない、その遺伝子解析により、誘導体の分子標的部位の同定をめざす予定である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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ACS Medicinal Chemistry Letters
巻: 6 号: 6 ページ: 689-694
10.1021/acsmedchemlett.5b00121
ChemMedChem
巻: 9 号: 10 ページ: 2233-2237
10.1002/cmdc.201402208