公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
昨年度に引き続き、原始惑星系円盤の多波長輻射平衡モデルを作成し、電波干渉計ALMAによる観測結果と比較を行った。どちらの天体からも、従来のダストモデルでは波長1mmでの散乱を過大評価していることを示唆する興味深い結果が得られた。星間物質中では1μmほどであったダストも原始惑星系円盤では合体により半径1mm程度に成長していると考えられている。このように成長すると、波長1mmの電波では散乱が吸収に対して10倍ほど優勢になると考えられている。この理論に基づき計算すると、光学的厚みが十分に大きくても、輻射強度はダストの温度に相当する黒体輻射の強度より明らかに低くなる。これは散乱により光路が長くなり、光の実効的な速度が遅くなるためである。また斜めから見ると、光球より外側の輻射が弱い領域しか見透せなくなるため、正面から見るより暗くなる。HD142527の北西部は円盤を斜めに見ている場所であるため、輻射強度は北西部より低いにも関わらず、光学的厚みが異常に高い値を仮定しても合うモデルが作成できなかった。ダストは完全な球であると仮定しオパシティーは計算されているが、このモデルは理想化し過ぎている可能性がある。このことを考え、試験的に散乱のオパシティーを1/10にして輻射平衡モデルを作成すると、北西部を含む全方位で自然なダスト面密度分布を導くことができた。この結果については共同研究者が国際集会で発表し、現在、学術雑誌への投稿を目指して論文をまとめている。HL Tau でも従来の散乱オパシティーを仮定すると、(1) 観測ではくっきり見える縞模様が散乱でぼやけ見えなくなる、(2) 観測には現れない輻射強度の方位角依存性が見える、など不都合のあることを見出した。これらの不一致は散乱のオパシティーを人為的に下げれば解消する。これらの成果は国際会議と学会でした。また学術雑誌への投稿を準備している。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)
Astrophysical Journal
巻: 801 号: 1 ページ: 11-11
10.1088/0004-637x/801/1/11
巻: 809 号: 1 ページ: 1-1
10.1088/0004-637x/809/1/78
Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: 67 ページ: 1-1
Journal of Quantitative Spectroscopy and Radiative Transfer
巻: 145 ページ: 9-16
10.1016/j.jqsrt.2014.04.014
巻: 796 号: 1 ページ: 1-1
10.1088/0004-637x/796/1/1
http://www.chiba-u.ac.jp/general/publicity/press/pdf/2014/20141204.pdf