公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
太陽系外惑星は主星のごく近くにあるうえ、主星との明るさの差が大きいため、直接観測を行うことは難しい。多波長同時トランジット観測は数少ない系外惑星の大気組成を研究する手段である。本研究ではすでに稼働している近赤外線3波長同時カメラにさらに可視光での同時観測機能を付け加えることで、より精密に系外惑星の大気組成を研究することが目的である。この開発では、現在使用している近赤外線カメラSIRIUSと同時にIRSF望遠鏡に取り付けるため、装置の小型化が求められた。具体的には、幅360mm、奥行き460mm、高さ120mmのスペースに、近赤外光と可視光を切り分けるダイクロイックミラー以降の光学系とCCDカメラ部分を収める必要があった。このため、天体観測に向いた市販のCCDカメラは大きすぎ、使用することができない。そこで、私たちは、このスペースに収まる多色CCDカメラとその光学系の設計・製作を行った。開発したカメラは、ダイクロイックミラーによる可視・近赤外光の切り分けのあと、補正レンズによりF比を10から8.3に変換し、また、同時に光学収差の補正も行う。SIRIUSと同程度の7.2×7.2分角の視野に対して、IRSF望遠鏡の設置されているサザーランド観測所での典型的なシーイング1秒角に収まる光学像を実現する。さらに、ダイクロイックミラーでSDSSのg'とi'バンドに光を分割し、2つの焦点面を作る。1024×1024画素のCCD素子KAF-1001を用い、画素スケールは0.42秒角となる。このCCDは70mm×100mm×60mmの小型真空冷却容器で冷却され、新たに製作した専用読み出し回路で読み出しが行われる。現時点では実験室での組み上げを行っている。研究期間中に完成に至らなかったが、今後も開発を続け完成させ、次年度以降、系外惑星の多色トランジット観測を行う。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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