配分額 *注記 |
7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2015年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2014年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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研究実績の概要 |
高電荷輸送特性を有する分子チューブの合成とその包接能を予備的に調べるために, 環状分子を合成し, その包接能について検討した。環状分子はフルオレンおよびエステル基を有するポルフィリンという剛直な共役系からなる。よって, 環状分子を重合して得られる分子チューブは決まったサイズの空孔を有することからサイズ認識能が期待できる。合成した環状分子を用いてその包接能を調べたところ, 1Hおよび13C NMRスペクトル, MALDI-TOF MSスペクトルを用いることで, Zn-N間の配位結合によってビピリジル誘導体と, ππ相互作用によってC60と, そして水中において親水疎水相互作用に由来する相互作用に基づき完全メチル化シクロデキストリン誘導体と包接錯体を形成することが明らかとなった。次にテンプレート法によって環状分子を基本ユニットとした導電性分子チューブの選択的合成を行った。環状分子のアルキンは重合点であり, ポルフィリンを含む一次元構造は共役系であることから導電部位と見なすことができる。環状分子はフルオレンおよびポルフィリン誘導体との逐次的なカップリング反応によって合成した。また, テンプレート分子としてビピリジルベンゼンをアルキル鎖によって連結したテンプレートを合成した。これは, 環状分子がZn-N間の強固な配位結合によって包接能を示す部分構造が二か所あることで環状分子二分子を近接すると考えられる。環状分子, テンプレート分子を混合し高希釈条件下Glaserカップリング反応に付したところ, 分析SECにより高分子量の分子は生成せず, 分子チューブに収束していることが明らかとなった。また, テンプレートを用いない場合では反応の進行は見られず, テンプレートによる反応点の近接効果が反応の加速をもたらしていると考えられる。
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